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さて、今回もツインタワー編の続編です。
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では、三つ目のお話を、どうぞ。
20年前ぐらいに、マクドナルドは度々ハンバーガーの半額セールをやっていた。
確か、チーズバーガーとハンバーガーが半額で、100円を切っていたように思う。
当時筆者が住んでいた街にはマクドがなく、マクドにいきたければ車で隣町まで行かなければならない。
大学の友人数人でマクドに行こうということになった。
関西人だけが頑なにマクドと言い、九州や中国地方出身の友人達はマックという。
まぁ、それはさておいて、マクドで誰がハンバーガーを10個食べられるか、という話になって、ちょっとした賭けみたいなことになった。
大本命は193。そして次点に筆者。
後は皆、始める前から諦めている。
いきなり行って注文しても時間がかかるだろう、と誰かがいい、電話で予め注文してから店に行くことになった。
マクドに行く人を募ると8人ほど。
一人5個がノルマになった。
筆者は電話で注文をする。
「すみません、今から行くので先に作っといてもらえますか」
「こられてからで間に合いますよ」
「いや、けっこう数が多いんですよ」
「そうなんですか、ご注文はなにですか」
「ハンバーガー50個」
「ハンバーガー50個ですね、え、50個!?」
「はい、いまから10人くらいでいきますから、お願いします」
「本当に来られるのですか」
「20分くらいでいけると思います」
「はぁ、わかりました」
店の人に後で聞くと、当時は時々大量注文が入ったらしい。
しかし、50個とかはなかなかないとのことだった。
店についてカウンターに並べてある、ハンバーガーの山。
まるでリカちゃんハウスのように並べてある。
友人達は、ちょっと引いていたが、皆席についてハンバーガーを食べ出した。
だいたいの人間は2個目で、飲み物がないことに気付く。
この次点で無心で食べている人間は3人。
3個目に入り、3人目が早々に脱落し、コーラを勝手に注文していた。
4個目に入ると、筆者と193だけが食べていた。
皆、思い思いのジュースを頼み、完全にお手上げモードだ。
5個目を完食すると、193は
「ちょっと味が足らんけぇ」
と言い出し、勝手にチーズバーガーを追加注文した。
筆者は、周りのギブアップ組のハンバーガーを回収し、6個目に突入する。
筆者に手つかずを渡した人間が、コーヒーを頼んでくれ、筆者はようやく水分を手に入れた。
しかし、飲み過ぎると食べられない。
193はチーズバーガーに切り替えて、口直しが出来たのかペースが上がった。
「やっぱ、チーズうめぇな、ジロー」
やや、余裕を見せている193を尻目に筆者は黙々と食べ続ける。
8個目に入り、周りは完全に観戦モードになっていた。
トレイを並べているのは、筆者と193のみ。
193はさっきの余裕がなくなってきて、表情が無表情になってきている。
9個目を手に取ると、周りが心配しだした。
もう、俺たちの負けでいいから、と。
筆者は中途半端なので後に引けない。
193は
「あと2個じゃけぇ」とやや苦しそうな表情を見せている。
10個目をなんとか筆者は食べ終えた。
193もなんとか10個目を食べ終えた。
ふたりで健闘をたたえ合い、一人当たりの総額が1000円いっていなかったことに、よかったなぁと話をした。
ただ、193は苦しそうだ。
筆者よりもチーズが5枚多いから。
翌日193は、「足がいてぇ」と言い出した。
「腹もくるしいけぇ、ちょっと病院行ってくる」
といって、部活を休んでいた。
後で寮の彼の部屋に見舞いにいくと、
「ジロー、いてぇ、いてぇ、と思うとったら、痛風やったわ」
「先生に聞かれたから日頃の飯とハンバーガーの話してら、食べ過ぎやわってあきれられてもうたわ。しばらくおかゆさん食べるわ」
そ、そうか。
筆者はたじろいだ。
チーズ五枚の差で、痛風なってもうたか。
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