ジローの部屋

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日頃の生活に、何かプラスになることを。

あの頃に時間を戻す、場所

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回は、かつての友人との再会、の話。


では、どうぞ。







久しぶり、元気にしてた?


そう言って、筆者は友人がいる場所に行って話を始めた。


「まあ、元気といえば元気かな」


彼女から、そういう話が返ってくる。


こっちになかなか帰ってきてないから、何年ぶりかな。
「そうやね、結構経つね」
高校の時はあんまり喋らんかったのにな。
「クラスは一緒やったけど、そうやね」
卒業して、内輪で集まりだしてからやな。
「ほんまやね、うち皆よりも大学行ってる期間が長かったから。でも楽しかったなー、みんなどうしてるんかな」
そうやなあ、専門学校行く人おったり、大学行くがいて、現役、1浪、2浪といたな。それで皆社会人になっていって。
「うちは最後まで大学生やったからなあ」
そやな、もうあれからけっこう経つで。


筆者は、そこまで話をして袋に入れたものを出す。


あ、これお花。あまりこういうとこにはそぐわんと思うけど、カーネーション
「ありがとう、こういう花あんまりもらわんから嬉しいわ。時々帰ってきてんの?」
いや、あんまりやね。ただ、こっちに帰ってきて時間がある時は、ここに来るようにしてる。
「そうやね、ありがとう」
時々ここでこうやって話をしていると、自分の置かれている状況が客観的にわかると言うか、なんかそんな気がする。
「うちは話聞くだけやからね」
そう、こっちが一方的に報告してるけど、でも過去の自分があって、今の自分があるわけだから。流されそうになってる時とか、深みにはまってしまっている時なんかにここに来れると、何て言うかとても落ち着くんよね。


筆者は少し空を見て話す。
その日は曇っていて、さっきまで雨がパラパラとしていた。


「なかなか大変そうね。昔、私が白血病になっていた時、頑張らなくてもいいんちゃう、って言ってくれやん」
そういやそんなことあったな。
「だからしんどい時は、無理せんでいいんちゃう?」
そうやね。
「うちら、付き合っていたわけでもなく、ただのクラスメイトで、卒業してからも時々集まって連絡を取り合っていただけの関係だけど、こうやって話ができるのも不思議なもんやね」
ほんまにな。こんなに本音を誰かに話すこともあんまりないし。
まぁ、誰か友達誘って来たら良かったんかもしれんけど、だいたい僕が来るときは一人やね。
思いつきで来るから。
毎年とか、決まった日とかには来れないけどね。
「いつもありがとうね」
次はいつ来れるかな。でもまぁ、また来るよ。
「またね」
じゃあ、元気で。
「元気というか変わらないけど」
そうやね、またね。


そう言って、筆者は彼女のいる四角い一室を掃除する。
草を抜いて、水を入れ替えて、場違いなカーネーションをさして。


そうして、短時間の訪問が終わり、帰ることにする。


23歳で止まったままの、冷たい石に刻まれた彼女の名前を見て

また来るわ

と、そこだけ声に出して。

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