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こんにちは、ジローです。
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今回は、電車のひと短編です。
この話は通勤や出張の際に、筆者が見かけたり筆者自身にあったことを、読みきりの短編にまとめています。
過去のお話は、本編末のリンクから御覧下さいませ。
さて、今回のお客さまは、乗り換えの駅で見かけたひと、の話。
では、どうぞ。
出張で普段乗らない私鉄に乗った。
そこから直帰となった帰り道、いつもと違うコースでいつもの私鉄へと帰路につく。
筆者は普段、阪急神戸線の東西の行き来に揺られている。
しかし、今日は違う路線からの帰途だった。
だから乗り換えのため、いつもの路線のターミナル駅へと続く「阪急電車」の映画にもなった南北の路線に入り、その駅へと向かった。
その駅は、随分と昔は東西と南北の線路が交差していたようだった。
ダイヤモンドクロスと呼ばれていたらしい。
今は東西が優先となり、南北のそれは東西の線路によって分断されている。
筆者が揺られていた電車は、二駅でそのダイヤモンドクロスに到着した。
到着した駅は、二階建ての立体になっている。
その二階部分がドンと広いフロアで一階の各線のホームとつながり、乗り換える人が行き来する。
その二階の中央にはぐるりとベンチに囲まれた、時計台があった。
人々はその周りを十字方向から流れてきて、すれ違っていく。
人の流れには波がある。
電車が来たであろう時は、たくさんの人が。
電車が過ぎ去りしばらくしたであろう時は、わずかな人が。
それぞれのベクトルが、それぞれの向きへ、ぶつからないように進んでいく。
そのうちの何人かは、時計台周りのベンチに吸い込まれていった。
そのうちの一人が、時計台周りで俯いてスマートフォンを眺めている。
そして、何回かの波が過ぎ去っていった。
俯いている人は、人の波に隠されては現れ、現れては消されていた。
ふと、俯いていた人が顔を上げた。
また増えだした波の中から、時計台周りに一人の人が吸い込まれる。
俯いていた人は、吸い込まれてきた人ににこやかな笑顔を向けた。
吸い込まれてきた人もまたそれを返す。
その様子をまた、人の波が隠しては見せ、見せては隠していった。
どうやら何本かの電車が到着したようだった。
俯いていた人は、いつの間にか時計台周りから見えなくなっていた。
時計台の周りには、別の人が佇んでいる。
その人もまた、スマートフォンを見て俯いていた。
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