ジローの部屋

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【アオハル編⑫】カタカタと回り出した、アオハルフィルム

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ブロ友りょうさん (id:ryousankunchan)のアオハルの話⬇
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それがこちら。
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そして、本編アオハル編での、これまで登場人物はこちら。



優太…サッカー部 幸次郎と親友 
   美咲の親と自分の親が知り合い
   女子と気軽に話が出来るが恋愛遍歴は複雑
幸次郎…サッカー部 絵美と中学が同じ
    気持ちは美咲に向いている
    琴子の気持ちは断った
公也…帰宅部で硬式テニスやっている
   勝矢、信介と仲がいい、詩穂に告白するも撃沈
   詩穂の気持ちが信介に向いていることに気付きだす
勝矢…バレー部 公也、信介と仲がいい。
   香織に告白するも撃沈
信介…陸上部、勝矢、公也らと仲がいい
   美咲に一目惚れ

香織…放送部 勝矢に告白されるが振る
   淳美らと仲がいい
淳美…吹奏楽部 香織らと仲がいい、面倒見がいい
   琴子を応援したい
琴子…吹奏楽部 淳美の後輩
   幸次郎に告白したが片思い中だと言われる   
絵美…野球部 淳美、香織らと仲がいい
   公也や勝矢の相談に乗っている
   幸次郎と中学が同じ
美咲…美術部 優太の親と自分の親が知り合い
   幸次郎に気持ちは向いているがうまくいかない
   信介と会う約束をしたことで、詩穂との関係が崩れる
詩穂…美術部 美咲の親友、信介に思いを寄せる
   最近美咲と別行動。


それぞれの思いや思惑が混じった中で、時間が進んでいました。
おそらくこのアオハルフィルムは、今回の話と次回、そしてあとがきで終わりとなります。長々とお付き合い下さいましてありがとうございました。




今回は、エピソード12。
彼の独白が始まります。
では、どうぞ。





12 幸次郎の独白 前編


 あの日、泣かせてしまった。
 たった4文字の、言葉を伝えただけで。




 
 その日の夜は、やけに電話がなった。
 それまで親友の優太からの電話はよくかかってきていたのに公也、勝矢からも電話があった。結局2人にも散々聞かれて、本当の気持ちを教えた。
 皆、口をそろえて、
「どうするんだ、伝えないのか」
と聞いてきた。


 先日の、淳美の後輩の1年生。
 彼女も
「それ、伝えるんですか?」
って。


 伝えないと伝わらない。
 それはわかっている。


 ただ、「伝える」というたったそれだけのことが、ずいぶんと難しかった。
 しかし、皆自分の思いを伝えている。優太はもう、1年の時に。



 誰かを思う気持ちっていうのは、これまでとは変わってきている。                     
 それとなく目で追っているときがあるし、話ができれば嬉しい。辛そうな表情を見つけると心配になるし、嬉しそうな様子をみると関係ないくせに自分の気持ちも明るくなる。
 なんというか自分の中でその存在が大きくなる。
 たぶん、それが「好き」という気持ちなんだと思う。
 ただ、それが強くなればなるほど「嫌われたくない」という気持ちも強くなっていた。
 

 相手が自分のことを思っている、とは限らない。
 それって、本当に奇跡なんじゃないかとさえ、思ってしまう。
 そして、奇跡というのは滅多に起こらないから奇跡なんだ。
 伝えても奇跡は起きなくて、打ちひしがれる。
 最悪、それまでの関係すらなくなってしまう。
 そんな姿を何人か見た。
 そんなことになるのなら、なんで伝えなきゃならないのか。
 

 また優太が言ってくる。
「あんだけ俺に言ってたのに、お前いつまでそのまんまなんだ?」
 

 この前の自転車置き場。
 あれは唯一のチャンスだった。
 目の前にいるのに、誰の目も気にしなくていいのに、声をかけられなかった。
 一言、
「おはよう」
と言うだけなのに。


 最低な根性なしだ。 
 そんなこともできないのかと、自分自身に愕然とする。でも、この程度なのかも知れない。
 何度もデジャビュが蘇る。いつまでこんなチキン野郎なんだ。このままはやっぱり嫌だ。


 もし、仮にもしも、伝えることができたとして、相手はどう思うだろうか。嫌な思いをするんじゃないか。挨拶もしないような冷たい奴だから。


 万が一、美咲も同じ気持ちに。
 なんて、なっているわけないか。それはありえないよな、絶対に。


 伝えないと伝わらない。
 それはわかっている。


 やっぱり、伝えてみようか。
 でも、どうやって?
 
 もし、というかたぶん、嫌がられる。
 その時は、謝るしかない。言われたことが迷惑にはなるけど、謝ってもう話さないようにすればいい。キツいけど仕方ないよな。


 電話でなら、謝ってすぐに切ればいいか。呼び出す必要もないし、人目も気にしなくていい。どうせ、ダメだから、さっと終わる方が美咲の迷惑にもならないだろう。
 
 






 笑われるかも知れないが、ようやくというか、やっとというか、決心がついた。よくいう、「俺は決めた」みたいなかっこ良い話とは程遠い考えから。


 迷惑がられるだろうとはわかっているけど、緊張は変わらない。受話器を持つ手に汗をかいている。呼び出し音が鳴っているときは心臓の鼓動がうるさくて、痛かった。
 家族が出て、こたらの名前を伝える。
 少しして、明らかに動揺している声が出た。


 大した用のはずなのに
「大した用じゃ、ないんだけど。」
と意味不明な切り出しをした。

 間が空いてしまって
「えっと」「実は」「あの」
とさらに続けてしまった。

 全て「うん」という返事が返ってきた。


 あ″~、そうじゃなくて、伝えたいこと。


「実は伝いたいことがあって電話した」

 少し間があって、「うん」という返事が、また返ってきた。






「好きです」

「ずっと前から美咲さんのことが」







 返事はなかった。




 少しして、鼻をすする音が聞こえた。






 風邪ひいたのか?
 そうだ、これは迷惑な電話だった。謝って切らないと。


「ごめん。大丈夫、風邪?」


「大丈夫」

「風邪じゃない」






 あかん、これは完全に自爆した。
 





 もう、切ろう。そう思った時だった。

「嬉しかった。絶対に嫌われてると思ってた」

 そうでしょう、嫌われてますから。
 え?今、なんと。




「ありがとう。私も実は…」


 







 あとは何を話したのかほとんど憶えていない。
 
 

 電話を終えて、さっき言われたことを思い出す。
 今は夢の世界か。

 そうしていると、すぐに電話がなった。
 優太が
「お前、いつまで誰と話込んでんだ!まさか美咲とか?んなわけないか。今日という今日は気合を入れ直してやる!」

「いや、そのまさか、だ」
と力なく答えると
「お前な、ウジウジせずにさっさと…。え?」
「だから、伝えた」
「マジで!?」




 経緯を説明して、憶えてる限りの話を言った。


「大丈夫、風邪?」
と聞いたところのくだりを説明すると爆笑された。
「お前、本当にわかってないな」
 ふわふわとした感覚は、急激に覚めた。それと同時に恥ずかしさと腹立たしさが一気に感情をかけ抜ける。




 これは現実だ。

 そして、奇跡というのは滅多に起こらないから奇跡なんだ。

 
13へ続く。

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ブクマコメントありがとうございます!
>まっこおばさま(id:makkosan70)
幸次郎さん、なかなかでしたからね。高校時代出てきましたか?懐かしのシーンが蘇っていたら、そういう共鳴ってブログならではで嬉しいですね✨

>テイルズ(id:MyStory)さん
もどかしい状況でしたね、ほんとに。周りから言われるのは当たり前だと思いますね。実らない可能性もある中、どうするか。どれが正解なのかは、つまるところ結果論です。次回最終話。そしてあとがきで今回のお話はお開きです。

>ユウヨ(id:byte0304)部長
当事者にとってはまさに激アツ!部長もアオハル語られますか😁なんとかここまで来ました。りょうさんとのコラボもいよいよ終了です。なんとか書き上げます!



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