ジローの部屋

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【交渉人編 中編】探し物は何ですか、見つけにくい物ですか

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こんにちは、ジローです。

たくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!

おかげさまで、ぼちぼちとこのブログを続けられています。



さて、今回は3話ものの2話目となります。

前回までの話はこちら⬇
surrealsight.hatenablog.com


では、どうぞ。






コートの内ポケットには、名刺入れがあった。
名刺に記載されている会社は、市内の警備会社。

この人が持ち主だろうか。

筆者は試しに電話をしてみることにした。



数コールが鳴って、応答がある。
当直の警備の人のようだ。


筆者は、飲み屋で名刺が入ったコートを見つけた、と切り出してみた。
電話越しに、なんだこの面倒くさそうな話は、という態度が見える。

筆者はさらに状況を伝えるが怪訝な感じは拭えない。
無理もない。
逆の立場ならそうなるかも知れない。

筆者は
そちらに今から、このコートを持って行く
と伝えた。

はぁ、と当直警備員は呟く。
筆者は
もしかしたらそちらの方が忘れてるのかもしれませんし
と続ける。

当直の警備員は怪訝な感じを維持しつつ、所在地までの道のりを説明し出す。
ざっと歩いて20分ってところのようだ。


筆者は店長に断り、コートを警備会社へ持って行くことにした。
店長も、持ち主がわからないため、後は警察に届け出するくらいしか方法がないらしく、やっかい事を引き受ける筆者に、丁寧な見送りをくれた。

2浪した幹事は、
どうすんの、これ
と言っている。
筆者は
まぁ、いいからいこか
と切り出して、案内された道のりを早足で歩き出した。
コートなしは、さすがに寒い。

2浪した幹事は、途中何回か
そんなところ行っても仕方ないやん
と言っていたが、筆者はともかくその警備会社に歩を進める。

そして15分もかからずに到着すると、さっきの電話の声の主が現れた。
ほんまにきたんやな
怪訝な感じはもう、なりを潜めている。

筆者はもう一度そのコートの置いてあった状況を説明した。
今度は、ふんふんと言って聞く警備員。
そして
その人は確かにうちの会社におる人やな
とつぶやき、電話帳を持ってきて電話をかけ出した。
丁寧なよそ行きの話し方をしているので、どうも関係は浅いか、薄いか。

筆者は途中で変わってくれとジェスチャーし、電話口に出た。

こんばんは、ジローと言います。
今日〇〇という焼き鳥屋行かれてませんでしたか?

うーん、どうやったかな、覚えてないな。

電話口の相手はうっとうしそうだ。

筆者は続けて切り出していく。

ほら、手羽先で有名な
あぁ、そうそう、そこにいったわ
名刺の入ったコートの忘れ物があって店長さんが困ってましてね
会社までもってきたんですよ

え、会社まで?
色がこんなんで、こんな形状のヤツなんですけど

あぁ、それは俺のヤツに似てるなぁ
内ポケットにこんな名刺入れがありましてね
はぁ、それなら忘れてますね
そうですか、それはよかった!
じゃあ、会社の人に渡しときましょうか!
いやぁ、店長さんがほんと困ってたんでよかったですよ!

すみませんねぇ。あの店から会社までけっこう距離がありますよね。
いえいえ、〇〇警備さんには日頃お世話になってまして。
そうなんですか、わざわざほんとにすみません。
じゃあ、当直の警備員さんに渡しときますね。
ありがとうございます。

さすがに最初のうっとうしそうな感じはもうない。

ほんとにコートだけのためにわざわざ来てもらって、すみません。
いやいや、私もそこで飲んでましたもので。

そこでちょっと、間をおく。
そして

ただ、ちょっと…私のコートが行方不明になっちゃってまして…
それは困りますね
そうなんです、さすがに今日はコートなしでは帰りがちょっと辛くて。
今日寒かったですからね。
よろしければ、どなたかお持ちでないか一緒に行かれた方に聞いていただけませんか?
ここで少し待たせてもらうので。

電話で話ながら当直の警備員に目配せすると、警備員は頷いている。

あぁ、そうですね。わかりました。
では、ここで折り返しのお電話をお待ちしてます。

そう言って受話器を返した。

当直の警備員は、コートないと今日みたいな日は寒いわな、と呟いている。
筆者は
早足で来たんで、温もりましたよ、とケラケラと返した。
2浪した幹事は唖然としている。

幹事は筆者を端に連れて行き

コートは元野球部のもんだろ
絶対そいつ持ってるんやって
謝らさせよう
もっとキレたほうがええやん
めっちゃ腹立ってきた

とボルテージが上がっている

筆者は
まぁまぁ
となだめていると、当直の警備員から

電話かかってきましたよ

との声が聞こえた。


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