ジローの部屋

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【電車のひと短編⑩】微妙な空気にお付き合い、よろしく

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こんにちは、ジローです。

たくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!

おかげさまで、ぼちぼちとこのブログを続けられています。


今日は久しぶりの電車のひと編の更新です。

ただの通勤電車ですが、こうして書くと様々なひとが電車に乗っています。
過去記事は総集編から、ご覧くださいませ。↓
surrealsight.hatenablog.com


さて、今回のお客様は、2人連れのサラリーマン。

では、どうぞ。






先日の帰りの電車にて。

筆者は、神戸から大阪方面へ帰りの電車を利用する。
乗る電車は、通常特急電車。
帰りの乗車状態は、座るところはなく、立っているお客がちょこちょこいるぐらいで、筆者は基本的にドア付近の壁側に立つようにしている。

乗車する電車には、一両当たり乗降口のドアが3つついている。
その日乗ったのは、真ん中の乗降口だった。


神戸三宮で大半のお客が乗車する。
そして、連れと乗っている人はひそひそと話し、一人で乗っている人はスマホをみたり、本を読んだり、目を閉じていたりしていた。

特急電車は途中の駅に停車した。
降りるお客は少なく、代わりに二人組のサラリーマンが入ってきた。

スーツに二人とも眼鏡をかけ、ビジネス鞄を持っている。
一人は50過ぎ、もう一人は40後半といったところだろうか。


彼らは酔っ払っていた。


筆者は時計を見た。
時刻は19:30。

この時間で出来上がっているから、おめでたい人達だ。
彼らはマスクをしているものの、大きな声で時折高笑いしながら話していた。
そして、きょろきょろと周りを見て、座る席がないのか、諦めてつり革を二人とも持つことにしたようだった。


彼らの立ち位置は、筆者の目の前。


彼らは
「局長、今日はおつかれさまでした~」
「おう、今日どこに泊まるんだっけ」
「大阪の・・町ですよ」
という会話を大声でし、笑っている。


コロナ下じゃなけりゃ、うるさいな、と思うだけで済んでたんだろう。
ただ、今は状況が違う。

まわりの乗客が、明らかに怪訝な顔をし出した。
知り合いで乗っている人達は、ひそひそと二人を見て話している。


電車で大声で話し続ける人は、もはや迷惑以外の何者でもない。
それが酔っ払いならなおさらだ。


彼らはよろめいて笑い、大声で話してもう一人によりかかる。
こっちにくるなよ、と思いながら様子を観察する。


筆者は少しにらんでみた。

しかし、彼らは完全に自分達の世界に入って楽しんでいる。




電車の車内は、ガタンガタンとレールを規則正しく刻む音に、高笑いの不協音が重なっている。




周りの目はさらに冷たくなっていた。



ちょうど次の駅に電車が到着した。
大阪までと言っていた彼らは、当然のことながら降りる気配はない。

そして、さっきの「どこに泊まるんやったかな」の下りが、すでに4回目を迎えていた。



筆者は、シュミレーションをしてみることにした。

パターン1
ありきたりに、「皆さん迷惑してますよ」と言ってみる。
なんとなく「あぁ?」と返してきそうな気がした。
この後の展開が、面倒なことになるかもなぁ。

パターン2
注意してみて、微妙なら引っ張り出そうか。
うーん、やり方を失敗すると警察沙汰になりそうだな。


筆者のスペックは、
・散髪したての坊主頭
・黒マスク
・黒スーツ
・187センチ
・花粉症で常に細目

パターン3
巻き舌でかましあげる。



うーん、これなら勝手に勘違いしてくれるかもしれないな。(注:筆者は普通の会社員です)
よし、パターン3でいこう。
周りも知らない人ばかりだし、どう思われようと問題はない。



局長と呼ばれていた人物は筆者に背を向けていた。
もう一人は局長に向かってスマホをさわりながら大阪のホテルの話をしている。


そうして、彼らはまた大きい声で笑い出した、まったく聞いてて面白くない5回目の話で。


「おう、今日どこに泊まるんだっけ」
「大阪の

おい、やかましいぞ、こら💢


局面が凍りつく。



局長の背中が急に伸びきって、驚いた表情でゆっくりと振り返った。
もう一人は、スマホからこちらを見上げている。

さっきの笑顔は、ない。



筆者は一歩前に出て

いつまでデカい声でしゃべっとんじゃ💢

と続けてみた。


彼らは横一列に並んで気をつけした。
ドアのそばに後ずさりしたが、もう下がるところはない。
局長は、小さい声で「すみません」とつぶやいている。




電車は、ガタンガタンというレールを刻む規則正しい音だけになった。



筆者は元の立ち位置に後退し、二人を見下ろす。


さぁ、しばらくはこの微妙~な空気に、お付き合い願いましょうかね。

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