ジローの部屋

ジローの部屋

日頃の生活に、何かプラスになることを。

原点に、ふれたとき

最近は殺伐とした記事が多かったので、今回は、少し趣向を変えて。


では、どうぞ。














「このおねえちゃんせんせいって何なん?」

かれこれ10年近く前、幼稚園から手作りのメダルをもらって帰ってきていた長女に聞いてみた。

「ちゅうがくせいのおねえちゃんやねん。」



良くも悪くもマイペースな彼女は、現在中2。
先日までちょうど5日間の職業体験をする、『トライやるウィーク』の時期だった。
抽選で当たった希望先は、けっこう人気だったらしい。


小さな子どもの面倒をみるのが好きな彼女は、普段はマイペース。
しかし、そういうときは意外と、けっこうまわりに気を遣っている。

ただ、仕事として見るその世界は、かわいいだけでは片付けられない。
いろいろな準備があり、気をつけていることもたくさんあるのが、仕事というものなんだろう。


月曜日の夜。
楽しみにしていた初日を迎え、興奮が冷めやらない様子。
マシンガンのように放たれる、その様子はたくさんの「かわいい」という言葉で飾られている。

たが、日が進むにつれやはり疲れの色も見えてきていた。


木曜日の夜。
彼女は小さなカードに担任と子どもの30人分のメッセージを、一枚ずつ書き込んでいる。
それをビニールの小袋に入れて、マスキングテープでとめる。
就寝時間をすぎてしまった目をこすりながら誤字と漏れがないか名簿をチェックし、間違いに気付いていくつかをやり直していた。


金曜日の夜。
疲れ顔で、でも前のめりで話している彼女は、おねえちゃんせんせいとして一人一人にハイタッチしながら、前日に用意したものを配ったらしい。
「やっぱり、かわいかった」と言いながら語る様子は、この仕事の原点なんだろう。


子供達が帰ると、実習に行った彼女らにサプライズが待っていた。

実はかつて担任をしてくれた先生が、奇しくも担当クラスの担任。
しかも、もう辞めてしまった担任の先生も呼んで、ほとんど職員が勢ぞろい。
皆で歌を歌ってくれて、一緒にケーキを食べて。
前のめりだった彼女は、そこのくだりを詰まりながら話していた。

「あぁ、もう終わっちゃった」
頬を拭い現実に引き戻された彼女は、記録のまとめに取りかかった。



大事なものを学んできたな。
5日間、おつかれさま。


ご訪問ありがとうございました。
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