ジローの部屋

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続 らしさって、かえるもの?

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こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回は、九州からの、定期便の話。

では、どうぞ。



















九州から、便りがくる。
もちろん、紙ではなくて、通知音付きで。



だいぶ前に書いた、「らしさ」についての話。
surrealsight.hatenablog.com
surrealsight.hatenablog.com
この話に登場する彼女は、九州の小学校の教師。
筆者の学生時代からの数少ない心友の一人。
彼女は昨年度6年生の担任をし、今年度も続けて6年生の担任をしていた。

彼女が受け持った今年度の6年生は、4年生から学級崩壊していたクラス、だったらしい。



もう、6年生。
後のない、学年。
学校としては、背水の陣。
そんなさなかの、白羽の矢。

随分と前に書いた前編と後編の後編には、そのクラスが落ち着いてきているという話を書いていた。


しかし、どうも一気に様変わりしたわけではなくて、トラブルや問題はよく起こっていたらしい。
しかも、隣のクラスの問題児が自分のクラスに来てそのまま居座ったり、こちらのクラスで悪さをしたりということもよくあるようだった。


筆者は教員の免許を取るところまでは確かに一緒に勉強していたが、そこから先の知識は当然ない。
だから筆者は免許を持っているだけの、いわばペーパードライバー。

彼女のやり方が正しいのかどうかも分からないし、前の学年までのやり方が間違っているのかどうかも、当然わからない。

また、去年と今年では、子供の受け止め方も変わっているだろう。


彼女の受け持つ前の最初の印象では、今年度は昨年度よりもさらに大変だった。
彼女にも家庭がある。
子どもを幼稚園に迎えに行く時間もある。
残業ありきの仕事は、当然できなかった。


そんな中、彼女は、”らしく”仕事をした。
メリハリをつけ、自分の中にある芯はブレないように。
時間をかけないといけないところは、根気強く時間をかけているようだった。


通知音の定期便に載ってくる話は、いらだちや疲れもある。
ただ、いい方の変化もあって、保護者からは全くクレームの連絡すら入っていないらしい。
何をどうやってるのかわからないが、1つ言えることは、今の彼女は窮屈そうには仕事をしていない。
何というか、彼女には筆者のよく知ってるあの頃の雰囲気が見て取れる。


3学期。
彼女の仕事は佳境を迎えた。
こんな時期に、自分の代えはいない。
積み上げてきたものがあって、子どもや親との関係性に真っ白の人が代打というわけにはいかない。

奇しくも、コロナ第6波。
そこらうちじゅうがオミクロンだ。
体調管理を万全にしていたとしても、自分の子供が発熱することもある。
前もって準備をし、不測の事態に備え、やはり休まないといけない場面も出てきていた。


3月になり卒業式を控え、彼女は自分のクラス向けに動画を作っていた。
大量の写真を整理しながら夜に作業を進めていく。
作っていきながら思い出に浸ってしまい、進まない。
音楽を挿入して、涙腺が決壊する。
そんな話が、通知音付きの定期便に載っていた。


ある日、定期便に文章だけのメッセージ部分だけが切り取られた動画が貼り付けてあった。
それは、彼女からクラスの子どもに向けたメッセージ。

筆者には当然、どういう子がいるのかはわからない。
顔も名前もわからない、写真もないその文章には、担任を出来た感謝と、中学へ進むに、大人になっていくにあたってのメッセージが、浮かんでは消え、消えてはまた浮かびして、溢れるコトバが綴られていた。

ただの他人でも、ぐっとくるようなコトバがたくさんある。
そして、そのコトバ達にも、随所に”らしさ”が溢れていた。



卒業式の前日。
彼女はサプライズとして、その動画を公開したらしい。
子どもらは、自分達の席で、思い思いの表情を見せ、たくさんの写真に一喜一憂する。

そして、流れる曲が変わり、メッセージ部分の動画が流れ出すと、それまで笑いながら話していた声がなくなり、真剣な眼差しに変わった。
涙腺のダムを崩壊させないように耐えている子、声を上げて感極まる子、誘爆を受ける子。
そして、製作者はもちろん、もらい泣き。


そうか、よかったな。
おぉ、すごいやん。
作った甲斐があったな。
そんなにたくさんのこどもが!?
それは嬉しいな。
ちゃんと伝わってるやん。


と、通知音付きの定期便にそれぞれ返信をしていくと、まるで実況中継のようにその光景が見えてきた。




翌日の卒業式。
あいにくの雨模様だった。

式当日がどうなったのかは、最早想像通りだった。
「泣きっぱなしだった」という彼女のコトバに、1年間の彼女の想いが込められている。
たくさんの子どもにも、その親にも囲まれ、声をかけられ、写真を撮られて。

同僚からも、「いい式でしたね」と言われ、若手からは「来年、〇○さんのやり方、真似してみます」と言われる。


通知音付きの定期便には、泣き顔の絵文字ばかりが目にとまる。
そして、載せられていた最後の一言。
「1年間、ウチらしくやってきてよかったよ」






最近、”らしさ”について考えて、筆者は深い沼にハマっていた。
先の彼女はその”らしさ”を発揮して、困難なクラスを最高の形で送り出した。
比べられるものではないことはわかっている。
ただ、彼女のおかげで筆者にはようやく出口が見えてきたような、そんな気がする。



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ブクマコメントありがとうございます!
>まっこおばさま(id:makkosan70)
ご心配をおかけしました。家族がコロナからのところで、アンダーグラウンドにハマってました。ようやく日の目をちゃんと見られそうです。らしさって、何だろうってなってました。

>テイルズ(id:MyStory)さん
人生を決定付ける、まさにそれでございます🙇ばらばらのところを整えて、団結する力を養い、目標に向かって努力する。そんな姿が彼女のクラスの子ども達から伝わってきました。見えないんですけど、いい表情してそうなんですよね😁