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さて、今回は、筆者の高校時代の部活顧問、の話。
では、どうぞ。
高校のとき、筆者はサッカー部だった。
顧問は、高校ぐらいまでサッカーをしていて、学生時代はボディビルをやっていた人だったので、本人公認かどうかはわかないが、皆マッチョと呼んでいた。
マッチョは何の教科担当だったか定かではない。
サッカーの指導もそんなにカリスマ性があったわけではなく、高校の特色となる戦術があるわけでもなく、まぁ、普通の先生だった。
マッチョはアメリカンのバイクに乗っていて、たまに対外試合の時にサングラスをかけてバイクで試合会場にやってくる。
アディダスでそろえたウェアを来て、冬場はお決まりのベンチコートを羽織っている。
たまにマッチョが練習に参加するが、マッチョはサッカーがそこまでうまくなかった記憶がある。
ただ、シュートの破壊力だけは抜群だった。
文化祭の時期となり、体育館で演劇部やバンドを組んでいる生徒がステージを繰り広げる。
自分たちはクラスの展示だけだったので、そのまま体育館に残り、キャーキャー言われて歌っている同級生を眺めていた。
彼らの演奏が終わり、なぜかステージにマッチョが現れた。
マッチョはスタンドマイクの前に立ち、カナダ人の英語の先生がピアノの前に座って、別の先生がギターを持ち出す。
体育館がざわめき出す。
無理もない。初めて見る組み合わせだから。
マッチョは他の先生を振り返りサングラスを取り出した。
他の先生もサングラスを取り出した。
そして、マッチョが大きく息を吸い込み
イェーーーイ
とソロで叫びだした。
君を好きでよかった、このままずっと、ずっと死ぬまでハッピー
ウルフルズの「バンザイ」のイントロ。
ここまで一息で歌って、次に移る。
真っ赤な顔をして。
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カーステレオから、20数年前のこの曲が流れてくる。
ラジオのDJは
三連休に友人の結婚式があるのでリクエストしました
というリスナーのメッセージを微笑ましく読んでいた。
筆者は思う。
ラジオの前の皆さん。
違うんだよ、これはマッチョの曲なんだよ。
皆この曲でマッチョの見る目が変わったんだよ。
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