ジローの部屋

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デモシカ教師が、輝くとき

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本屋で見つけた夏目漱石
彼の作品には、ちょっとしたエピソードがある。

さて、今回は、そんな夏目漱石がからんだ、1年で一度だけのカリスマ教師、の話。

では、とうぞ。



高校の時、冴えない先生がいた。

彼は現代文の先生で、指導書に載っている見解と、いつもそれとあわせて自身の個人的な見解を説明する。

当時の高校生には、正しい解釈とそのやり方だけを教えてくれよ、と感じだった。

彼は、自分のことを、

デモシカ教師

と言っていた。


彼が就職した時代は高度成長時代。
民間の会社の給料はうなぎ上りで、公務員なんて安い給料でよくやるな、という時代。


彼はそんなときに、やりたいことが見つからず

教師デモやるか、教師シカないか

という流れでなったらしい。


そのため、ものすごい研究熱心だとか、授業にこだわりがあるとかもなく、現代文に関して授業で何か教わるのか、というと、うーん、何だろうって感じだった。


しかし、その何とも言えない力の抜け方と、独特の解釈がなんとなく気になって、筆者は授業を聞いていた。


高校2年の秋、ちょうど今頃、教材は夏目漱石の「こころ」だった。
ちょっと内容はもう、うろ覚えだが、確か主人公と親友のKという人が、一人の女性を巡っての話で、Kが最後自殺するとか、そんな話だったと思う。


当然、その話はある部分の抜粋で全部ではない。


皆ただでさえ発表するのが嫌なのに、テーマが三角関係とか微妙すぎて、恥ずかしいし、困るので頑なに下を向いている。


彼はそんなことお構いなしに、さして答えてくれないだろうと考えているのか、お構いなしに日付から学籍番号を見て当てていって、授業を進めていた。


当時、筆者がいたクラスにも、誰かが誰かを好き、とかいうアオハルがたぶんにもれず、あった。

しかも、かみ合っていることが少なく、誰かが好きな人はそいつの友達が好き、とかいう微妙な関係がたくさんあった。


(ここについては、たぶん別編にしてそれなりに書けるんじゃないかというくらい話があるので、機会があればアオハル編にしてもいいかなと思う。)

彼はその絶妙なところをついてくる。

まずAという女子を当てて、女性の心境を問うてくる。

彼自体は真剣だ。

当たった女子はどぎまぎしながら答えている。

次に学籍番号の下一桁つながりでBという男子を当てる。
BはAに好意を持っていたナイスガイ。
ただ、少し前に告白して玉砕していた。
好きな人がいるらしい。

彼は事情を知らない。

しかし、絶妙な人選をした。
Bはうつむきながら心境を回答する。

彼はそういう考えもあるのかと納得した。
頼むから傷をえぐるのはやめてくれ、知り合いの男子は公開処刑になっているBをおもんばかる。

次に

友人と同じ人のことを好きになったらどうするか

と質問していく。

クラス全員は下を向いている。
なんでこんな暴露大会みたいになるんだ、とヒヤヒヤしていた。

それをCとDという女子に質問する。
彼女らもきまずそうだ。

後々聞くと、彼女らも一人の男子に好意を持っていたようで、いつもは一緒にお昼を食べていたのに、その頃からバラバラに食べ出していて、男子連中はなんでなんやろ、と噂していた。

男子注目の的の二人は困った感じで、登場人物の気持ちを代弁している。


男子が皆聞きたい心境を、彼はえぐっていく。

今度はそれをまた学籍番号をアレンジして、男子に聞き出した。

筆者も当てられて、もめるの嫌なんで、友人に譲ります、と答えると、またクラスがざわつく。


彼は、お前、それでいいんかと更に問う。


かましいわ、と思いながら

まぁ仕方ないです

とドライに答える。


次にEに聞く。
Eは、自分を優先する、という答えをいう。

またクラスがざわつく。


なんで今日だけデモシカ教師はニュータイプになったんだ!?




卒業してから、クラスのメンバーで集まったときにその話になった。

皆、やたら憶えていた。
男子の思惑と、女子の気持ちがネタバレになり、数年後に、そうなん、マジで、みたいな話になる。


デモシカ教師、甘く見ることなかれ。
ただ、彼が輝きを持ったのは、その授業だけだった。

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