ジローの部屋

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【アオハル編⑩】カタカタと回り出した、アオハルフィルム

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


ブロ友りょうさん (id:ryousankunchan)のアオハルより、ご縁をいただきました。
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この企画での筆者のリクエストはBUMP OF CHICKENの「K」という曲。これが絶賛公開中です。。
yukiichihimenitaro.shop
それがこちら。
youtu.be
りょうさんのピアノの旋律を背景に進んで参りました。
まずは皆様ポチッと再生をよろしくお願いします🙇

これまでの登場人物はこちら。

優太…サッカー部 幸次郎と親友 
   美咲の親と自分の親が知り合い
   女子と気軽に話が出来るが恋愛遍歴は複雑
幸次郎…サッカー部 絵美と中学が同じ
    気持ちは美咲に向いている
公也…帰宅部で硬式テニスやっている
   勝矢、信介と仲がいい、詩穂に告白するも撃沈
勝矢…バレー部 公也、信介と仲がいい 
   香織に告白するも撃沈
信介…陸上部、勝矢、公也らと仲がいい

香織…放送部 勝矢に告白されるが振る
   淳美らと仲がいい
淳美…吹奏楽部 香織らと仲がいい、面倒見がいい
   琴子を応援したい
琴子…吹奏楽部 淳美の後輩、幸次郎にクッキーを渡す
絵美…野球部 淳美、香織らと仲がいい
   公也や勝矢の相談に乗っている
   幸次郎と中学が同じ
美咲…美術部 優太の親と自分の親が知り合い
   幸次郎に気持ちは向いているがうまくいかない
詩穂…美術部 美咲の親友、信介に思いを寄せる


これまでのエピソードは9を数えました。
残りいくつなんだろうというところ。
お気付きの方はこの「~の事情」があと最低あといくつあるかはおわかりなんじゃないでしょうか。

今回は、エピソード10。

では、どうぞ。









10 信介の事情




 正直、電気が走った。


 今まで何度かこの言葉を他人の口から聞いてきた。その度に

「なにを、アホらしい。そんなことあるかいな」

と馬鹿にしていた。
 しかし、その時の衝撃はホンモノやった。
 今まで馬鹿にしたヤツらに謝りたいくらいだった。




 2年になって、新しいクラスになった。
 文系、理系が別れ、クラス替えによって雰囲気はずいぶんと変わった。
 今回のクラスは垢抜けた子はいない。
 そういう人はちょっと苦手だった。

 クラスの女子を見渡して、誰かと仲良くなれるんやろか、と思う。彼女できたら、楽しいんやろな、と想像だけが脹らんでいた。

 中学が同じだった優太がいたので話をしに行った。優太は1年の時に同じだった幸次郎と一緒で、これまた同じクラスだった詩穂と美咲と話していた。

 
 その時が電気の瞬間だった。





 美咲は、詩穂とよく一緒にいるようだった。だから、詩穂ともある程度話せるようにならないといけない。いきなり話しかけて、としてみても無理だろう。
 だから、ちょっとずつ距離を縮められないか。そう思ってた。


 クラスには男前の公也と勝矢がいた。この2人とも仲良くなるのに時間はかからなかった。

 3人で彼女のいる高校生活の話をしていた。
 彼女ができたら、誰が一番冷たくなるか、なんて想像していた。馬鹿みたいな話だけど、こういうのってめちゃくちゃ面白かった。


 公也が詩穂のことを好きなことは気付いていた。直接聞いたときはやっぱり、ってなったし、公也も電気の話をしていて、めちゃくちゃ共感できた。
 ただ、自分の気持ちはまだ他の人に気付かれてはいけない。

 公也のためにも詩穂との間を持ちながら、美咲と話をできないかを自分なりに探っていた。





 2学期になった。

 あまり話しかけすぎて軽いやつとは思われたくなかったのでそこは自重してきた。普通に話をしている優太は正直羨ましかったが、中学以前の姿を知ってるので、昔からアイツはそういうやつだから、と納得している。


 美咲は正直、かわいいと思う。だから、誰かに告白されたりするんじゃないかと思っていたけど、どうもそういう感じには見えなかった。

 淳美情報を絵美から流してもらっている公也や優太が言うには、彼氏がいる子はウチのクラスにはいないらしい。
 にわかには信じがたいけど、でも案外そんなもんなのかも知れない。もしそういう風になってる人がいたら、すぐに噂って立ち上がってくるから。


 だから、俺にもチャンスはある。
 自分を磨いて、いざ、という度胸を持てるようにするんだ。




 体育祭が終わって、秋も深まり冬が見え出した。

 公也と勝矢が勝負に出だす、と言い出した。
 ここで公也らに言うべきか考えたが、思いとどまった。
 

 焦るな、タイミングは自分で見極めろ。
 

 公也と勝矢は見事に玉砕した。その落ち込みようは俺達の間の時だけ見せていて、本当に辛そうだった。俺ももしかしたらこうなるかも知れない。これは、キツいなぁ。

 でも上手くいくかも知れない。上手くいったら、最高だな。

 勝矢らを慰めながら、たくさん愚痴に付き合った。


 現代文の授業でおかしな展開になった。
 好きな人が友人とかぶったら。

 夏目漱石はその小説の中で、主人公に彼女をとられた三角関係の友人を自殺させた。なんでそんなことになるのかわからない。


 幸次郎は友人に譲ると言っていた。本心かはわからない。俺は、嫌だ。

 だから、当てられたとき
「僕は、自分の思いを優先させます」
と答えた。ある意味、これが、吹っ切れた瞬間だった。


 幸い、美咲の家の電話番号は知っている。クラスの連絡網に載ってたから。
 何度もその番号をみて、電話してみようか考えたことがあった。だからもう、それを見なくても憶えている。



 耳の奥に、コール音が鳴り響く。
 誰が出るかわからない。

 ガチャ、という音がして
「はい、〇○です」
と若い声がした。
 自分の名前を名乗り、
「美咲さんいますか」
と伝える。電話の向こうで階段の音がする。学校でよく聞いていた声が聞こえた、明らかに動揺して。

 いきなり電話したことを謝って、少し話をした。幸い無言になることはない。そして、できたら会って話がしたいことを伝えた。
 向こうはちょっと戸惑っている。だから、
「少し考えてみて、また明日電話する」
と伝えた。そして、電話を切った。
 おやすみを言うと、おやすみが返ってきた。


 翌日は朝から夜が待ち遠しかった。学校の授業も部活も一気に早送りして欲しい。
 そして、夜になった。

 電話をかけると、その日は最初から美咲がでた。
 何時くらいにかけるから、と言っていたのがよかったみたいだ。少し話をしてから、週末にどこかで会えないか聞いてみた。美咲は戸惑っていだけど、断られはしなかった。
 だから、週末に美咲の家の方の公園で会うことにし、電話を切った。
 今日も、おやすみが返ってきた。


 何事も、動かないと始まらない。
 電話をおいてから
「よっしゃー」
と叫んだ。


「アニキ、うるさい」
という声が聞こえる。
 しかし、そんな声すら今の自分には褒め言葉に聞こえた。


11に、続く。


優太…サッカー部 幸次郎と親友 
   美咲の親と自分の親が知り合い
   女子と気軽に話が出来るが恋愛遍歴は複雑
幸次郎…サッカー部 絵美と中学が同じ
    気持ちは美咲に向いている
公也…帰宅部で硬式テニスやっている
   勝矢、信介と仲がいい、詩穂に告白するも撃沈
勝矢…バレー部 公也、信介と仲がいい 
   香織に告白するも撃沈
信介…陸上部、勝矢、公也らと仲がいい
   美咲に一目惚れ

香織…放送部 勝矢に告白されるが振る
   淳美らと仲がいい
淳美…吹奏楽部 香織らと仲がいい、面倒見がいい
   琴子を応援したい
琴子…吹奏楽部 淳美の後輩、幸次郎にクッキーを渡す
絵美…野球部 淳美、香織らと仲がいい
   公也や勝矢の相談に乗っている
   幸次郎と中学が同じ
美咲…美術部 優太の親と自分の親が知り合い
   幸次郎に気持ちは向いているがうまくいかない
詩穂…美術部 美咲の親友、信介に思いを寄せる

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ブクマコメントありがとうございます。
>まっこおばさま(id:makkosan70)
信介と幸次郎の運命はいかに。前回のお話の関係性に繋がってくるんです。

>テイルズ(id:MyStory)さん
終着点に向かって、一気に感が強すぎるかも知れません。次が最後の方の事情。そこからどうやって収めていくのか悩ましいところです。それぞれのキャラが生きてるので、自由にやらせてみたいなと、思います。

>ユウヨ(id:byte0304)部長
本当に全てを知っているからこそ、あぁだこうだと言えるんですよね。当時の彼彼女らは自分達のフィールドで一生懸命です。さて、この流れをどうしようかというところ。
次は最後の事情、です。


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