ジローの部屋

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【アオハル編⑧】カタカタと回り出した、アオハルフィルム

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。

ここのところ続いておりますアオハル編。
ブロ友りょうさん (id:ryousankunchan)のアオハルに触発されて始まりました。
yukiichihimenitaro.shop
筆者のリクエストはBUMP OF CHICKENの「K」という曲。これがすでにもう公開されています。
yukiichihimenitaro.shop
それがこちら。
youtu.be
りょうさんのピアノの旋律を背景に本編は進んで参ります。
ですので、皆様ポチッと再生をよろしくお願いします🙇


これまでの登場人物はこちら。

優太…サッカー部 幸次郎と親友 
   美咲の親と自分の親が知り合い
   女子と気軽に話が出来るが恋愛遍歴は複雑
幸次郎…サッカー部 絵美と中学が同じ
    気持ちは美咲に向いている
公也…帰宅部で硬式テニスやっている
   勝矢、信介と仲がいい、詩穂に告白するも撃沈
勝矢…バレー部 公也、信介と仲がいい 
   香織に告白するも撃沈
信介…陸上部、勝矢、公也らと仲がいい

香織…放送部 勝矢に告白されるが振る
   淳美らと仲がいい
淳美…吹奏楽部 香織らと仲がいい、面倒見がいい
   琴子を応援したい
琴子…吹奏楽部 淳美の後輩、幸次郎にクッキーを渡す
絵美…野球部 淳美、香織らと仲がいい
   幸次郎と中学が同じ
美咲…美術部 優太の親と自分の親が知り合い
   幸次郎に気持ちは向いているがうまくいかない
詩穂…美術部 美咲の親友、信介に思いを寄せる


今回は、エピソード8。
では、どうぞ。





8 公也の事情


「思いってさ、何で伝わらんのやろうな」
 唐突に公也は勝矢に切り出した。
「ほんまやな、うまくいかんもんやな」
 勝矢は教室の窓からグラウンドの方を眺める。
 ちょうど陸上部がトラックの中で準備運動していた。
 信介が声を出している。


「でもお前はいいよな、香織はそれからも普通に喋ってくれるんだろ?」
「それはな。でもある意味生殺しやで。これ以上仲良くならんていうの分かってるわけやん」
「わからんよな、女心って。詩穂の好きな人って誰なんやろ」
「うちのクラスなんかな。優太とかかもな。割と仲いいし」


 教室の中は、思いが巡っている。
 伝わらなかった人。
 まだ伝えていない人。
 伝えたい人。
 伝えて欲しい人。







 現代文の授業が始まった。
 教科書の教材は、夏目漱石の「こゝろ

 なんでこんな時期に、こんな三角関係の思いが教科書に出てくるんだろう。
 普段は冴えない中年太りした現代文の教師は、学籍簿を持ちながら、順番に当てていった。揺れ動くヒロインの心境は女子に。三角関係の主人公ともう一人の心境は男子に。


「誰かを好きになるって、どういう気持ち?」
と香織に当てる。教室の廊下側となる正面黒板に向かって右手側。ここの一番前に香織は座っていた。
 戸惑った香織は、しばらく間をおいてから立ち上がる。
「友達以上の関係?です、たぶん」
と言に座った。

 公也は右隣の勝矢を見ると、勝矢は難しい顔をして香織を見つめていた。


「思いが伝わらないのはどういう気持ちだと思う?」

 うわー、こんなの絶対にこたえたくないわ。
 公也は教室の中央の一番後ろから周りを見渡した。
 皆、下を向いていた。

「公也君」

 しまった。時既に遅し。
 適当に答えようか。
 一瞬考えて、立ち上がった。

「たぶん、かなりキツいんじゃないかと思います。」

 何でこんなこと言わなあかんねん。なんや、今日は。
 自分でも何でそんな風に言ったのかわからない。振り返ってこちらをみていたクラスメイト達は、同情した表情をしていた。
 公也は顔を真っ赤にして着席した。

 公也の列の右隣の列の先頭に詩穂がいた。
 詩穂は振り返ってはいない。こんな姿は見られたくない。

 現代文の担当教師は解説しながら、じゃあ次は、とまた次の質問を繰り出そうとしている。

 一度あたった公也は、この教師の癖として1日に同じ人を2回当てないことを知っている。
 この恥ずかしい思いをした人だけに許された安心感。当たってない人間に続いていく恐怖感。

 普段の授業なら、適当に流していけるのに今日の内容は誰しも当てられたくない。

「じゃあ、同じ人を好きになったら、あなたならどうしますか。そうですね、たまには女子に聞いてみましょう」

 女子の顔が、えっ?となる。
 この教師の、たまにある変化球。

 こんなところで投げてきやがった。

 公也はそう思って、当てられて立ち上がった美咲に同情した。
「えっと、困ります」
珍しく美咲は返答に困っている。
「困りますよね」
と担当教師は助け船を出した。そして
「あと1人ぐらい聞きましょうか」
と言っている。俺達に疑問形で聞かれても、誰も答えないぞ。
「じゃあ詩穂さん」

 ビクッとした詩穂の背中がゆっくりと立ち上がる。

「ちょっと、わかりません」

「そうですか、難しいですよね。じゃあ男子に戻りましょう。」

 担当教師は、学籍簿を見ながらまだ当てていない生徒を探していった。



「じゃあ、幸次郎君」

 皆が一斉に振り返る。公也の2つ左隣となる一番後ろの角の席に座っているからなんだろうけど、たくさんの顔がこちらから見えた。
 幸次郎は立ち上がって
「友人に譲ります」
と答えた。幸次郎はさっと座ろうとする。クラスがざわっとした。
「君は本当にそれでいいのか?」 
 珍しく担当教師は2球目を投げた。イスをひく音がして、幸次郎が立ち上がる。
「それでいいです」
と無表情に答えていた。担当教師はなんだか納得がいかないらしい。それでもう一人当てることに、したようだった。

 廊下側の後ろの角の席の信介が立ち上がる。皆の顔が一斉に反対に向いた。

「僕は、自分の思いを優先させます」
 信介の回答にクラスがまたざわめく。

 現代文の担当教師は、その回答に満足したのかまた解説を話し出した。
 


 公也の前に座っていた美咲がちらりと左を振り返った。
 公也はつられて左を見た。

 隣に座る淳美の向こうで、幸次郎が窓の向こうを眺めていた。


9へ続く。

優太…サッカー部 幸次郎と親友 
   美咲の親と自分の親が知り合い
   女子と気軽に話が出来るが恋愛遍歴は複雑
幸次郎…サッカー部 絵美と中学が同じ
    気持ちは美咲に向いている
公也…帰宅部で硬式テニスやっている
   勝矢、信介と仲がいい、詩穂に告白するも撃沈
勝矢…バレー部 公也、信介と仲がいい 
   香織に告白するも撃沈
信介…陸上部、勝矢、公也らと仲がいい

香織…放送部 勝矢に告白されるが振る
   淳美らと仲がいい
淳美…吹奏楽部 香織らと仲がいい、面倒見がいい
   琴子を応援したい
琴子…吹奏楽部 淳美の後輩、幸次郎にクッキーを渡す
絵美…野球部 淳美、香織らと仲がいい
   幸次郎と中学が同じ
美咲…美術部 優太の親と自分の親が知り合い
   幸次郎に気持ちは向いているがうまくいかない
詩穂…美術部 美咲の親友、信介に思いを寄せる

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ブクマコメントありがとうございます!
>みみこびと(id:mimikobito)さん
いやいや、さすがに書籍化には耐えませんよ😅でも、お褒めのお言葉ありがとうございます🙇後ろから風を送りまくってもらったおかげで、こんなにも話が膨らんでいきました。あぁ、どこまでいくんやろう。

>テイルズ(id:MyStory)さん
こちらでもありがとうございます!彼はニュータイプではありませんが1日だけ限定で強化されたに違いありません。見えたんですよ、きっと。しかし、先生は最終的にヒロインの親に話をして縁談をまとめ上げ、友人は自殺するという展開の小説を思春期の学生に教えるって、どうなんでしょう。確かにまっすぐな気持ちはわかるんでしょうけど😅

>AKI(id:aki800)さん
ありがとうございます!宴もたけなわって、いつ?って感じですよね。字数にもよるんですけどすでに長くなりすぎてます。この後の展開の皆さんの想像と本編の展開がどう裏切られるか、なんですけど、まさに事実は小説より奇なり、です😅

>まっこおばさま(id:makkosan70)
盛り上がりを見せられてますか?自分ではそこまでの想像がいかなくて。後何話になるかなぁと考えながらの毎日です。訪問を減らして、せっせと作成を進めてます😥

>ユウヨ(id:byte0304)部長
入りの部分をほめていただきましてありがとうございます。この部分はなんだか光景が見えたんですよ。両手を投げ出して窓に顎のせながら、二人でグランドを見る様子。自分でもここは気に入ってまして、そういうところに気付いていただいてめちゃくちゃ嬉しかったです。


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