ジローの部屋

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面白い戦いは、繰り返される 前編

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回は、ブロ友さんのゆかちん (id:toyamayama)さんが書かれていた『小学校の給食』で思い出した話。

ゆかちんさんのお話はこちら↓
www.toyamayama.com

おかげさまで、ちょっと懐かしい話を思い出すことが出来ました。
なお、このお話は、前編後編の2話もの、になります。

では、前編をどうぞ。





その転校生は、ブラジルからやってきた。
彼の名前は、今でも憶えている。


彼はお父さんの仕事の都合で、ブラジルに長いこと住んでいて、少しの間だけ日本に帰ってき、確か2ヶ月ほどしてまたブラジルに帰っていった。
なぜ帰ってきたのかは、憶えていない。


当時筆者は小学三年生。


彼は、全校集会で紹介され、筆者のクラスにやってきた。


始めに自己紹介をするが、彼の日本語はたどたどしく、おぼつかない。
短い文章は話すことができるが、長い会話は難しいようだった。
それでも、時折見せる笑顔が、とても眩しく、人懐っこい印象をもたせることができていた。


彼は、授業を一緒に受けるが、彼には日本語がまだ難しく、眉間にしわを寄せた表情をしている。
業間の休み時間にクラスの数人が彼を誘って外で遊ぼうとしたが、なかなかうまくコミュニケーションが取れなかったようだった。


担任の先生も間を取り持つと気を揉んでおり、その気持ちが皆に伝わっているからこそ、色々と話しかけて友達になろうとするがなかなかうまくいかない。

彼は彼で、そういった周りの様子に答えようと笑顔を作っているが、日本語が分からないところが多く、ちょっと困っていた。



彼がやってきたのは、ちょうど梅雨の時期だったように思う。
夏休みが始まる7月に別れ会をしたような記憶があるから。



暑い時期に、筆者の学校では給食で、「冷凍みかん」が出ていた。
普通のみかんを、ただまるまる凍らしただけの、「冷凍みかん」。


その暑い時期にこのデザートが皆とても嬉しくて、欠席者が出ると、早飯をし終えた男子達が集まり、争奪戦を繰り広げるために、大じゃんけん大会が開かれるほどだった。


その頃筆者達は、給食のコッペパンを何口で食べられるか、というしょうもない戦いを友人と繰り広げており、その勢いで冷凍みかんを何口で食べられるかという勝負を、やはり友人と繰り広げていた。

彼が転校してきた時期は、まさにそのしょうもない戦いに熱意を注ぎ込んで、給食を食べていた頃だった。



給食の時間になった。

その日、給食にはデザートに「冷凍みかん」があった。
そのため、筆者はいつも通り、冷凍みかんを最後に残し、テーブルを同じく並べている仲の良いクラスメイトと、一対一での対決をすることになった。


冷凍みかんの中身は、凍っているためシャリシャリだ。
つまり、めちゃくちゃ冷たい。


対戦成績で劣っていた筆者は、勝つにはこれを一口で食べるしかなかった。


周りが自然と注目し、筆者は対戦相手との真剣勝負に挑む。
冷凍みかんの皮をむき、1/2に割ってしまうところ、その日は割ることなくそのままにして、位置に着いた。
反対側の机の向こうで、筆者の様子を汲み取った対戦相手も、冷凍みかん割ることはなかった。


公正を期すため、審判を名乗り出るクラスメイトが出てくる。
そして周りが息を飲んで、審判が

「よーい、スタート」

と言って、振り上げた手を勢いよく振り下ろした。



2人のファイターは勢いよく冷凍みかんを口の中に放り込む。
それを吹き出すことなく、早く食べきれば勝ちだった。


何度も言うが、冷凍みかんは凍っているためシャーベットのようだ。
だから、口の中がキンキンになる。


二人とも立ち上がって、悶絶しながらなんとか冷凍みかんを咀嚼しようとするが、何せ冷たくて食べるのがなかなか困難だ。


固唾を飲んで見つめていたクラスメイト達が、二人の様子を見て大爆笑する。
筆者は若干涙を流しながら、冷凍みかんを食べきり、この勝負に勝つことができた。
筆者は周りから勝利を称えられた。



面白い戦いは、繰り返される。



第2試合が行われることになり、審判が挑戦者を募った。
クラスのお調子者が名乗り出て、もう一人立ち上がった人がいた。


それが転校してきた彼だった。
この異様な盛り上がりの中、二人は向かい合って座り、冷凍みかんの皮をむいて、位置に着く。
そしてまた審判が、手を振り上げてから勢いよく合図の言葉を発して、試合が始まった。



当たり前の話だが冷凍みかんは、誰が食べても、冷たい。



やはり二人とも、悶絶しながら必死に両手で口を押さえて、食べきろうとしている。
その試合は、大爆笑の渦の中、転校生が勝利した。


ガッツポーズをする、転校生。
周りに人の輪が出来て、ハイタッチしたり、握手したり。
筆者はがっちりと彼と握手した。
言葉がうまく伝わらなくても、この給食の時間で筆者らは皆友達になることができた。


ほんとにしょうもないことを一生懸命やっていた、あの頃。
言葉がうまくつたわらなくても、友達になれると分かったあの頃、だった。


後編へ続く。


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