ジローの部屋

ジローの部屋

日頃の生活に、何かプラスになることを。

だから出だし、早いって

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
しばらくご無沙汰しておりました、ジローです。
皆様お元気でしたでしょうか?



ここのところ筆者は出張が続き、ちょっとブログから離れて本を読んだり、職場の人と普段いかないスタバでコーヒーを飲んだり、遠くに住んでいる友人から濃い相談を受けていたりして、いつもと違う時間をすごしていました。

たまにあるリセットの時間。
そんな感じでしょうか。
そして、また書き始めようということで、久しぶりの話を少し。

さて、明日は、11月11日。
そう、ポッキー&プリッツの日

筆者はグリコさんの回し者ではありません。
学生時代のコンビ名がこれ、だったのです。
surrealsight.hatenablog.com

そこで、今回は、馬鹿になれるか、の話。

では、どうぞ。















「どうも~」

と言いながら演者二人は勢いよく座敷を閉め切っている障子を開け、前屈みになってパチパチと拍手をしながら登場していった。

ワーっという歓声と、耳に響く指笛。
観客の顔は大抵が赤らいでいる。

登場した演者も観客も、全員が統一されたブレザーに身を包み、緑色の段柄のネクタイを締めている。



そこは20年前の貸し切り食堂の2階座敷。大学ラグビー部の公式な飲み会が監督、コーチをはじめ一部OBも列席の下開催されていた。



店の2階は、ずどんと座敷になっている。
それをコの字形に囲むように廊下と階段があり、廊下と座敷は障子で仕切られていた。

演者二人は、狭い廊下で料理を運ぶ店員さんにクスクスと笑われながら、ネタ合わせをしていた。

司会が障子を開けて
「そろそろ出番です」
と告げてくると、演者二人はアイコンタクトをして、
「ヨッシャ!」
と言ったりしながら、それぞれが頬を叩き気合を入れる。

障子の向こうでは、人影となった司会が咳払いをし
「皆様、ご歓談中失礼いたします」
と話だしており、ざわざわとしていた会場のボリュームがゆっくりと落ちていっていた。

司会は、
「・・・。」
と何か言っているが、廊下にいる演者の二人はほとんど聞いていない。
そうして
「では、ポッキー&プリッツのお二人、張り切ってどうぞ!!」
と司会が声をかけるのと同時ぐらいに、プリッツが冒頭のように

バンッ!!

と勢いよく障子を開けて、用意されていたスタンドマイクへかけていく。


「だから出だし、早いって」
と内心ツッコミながら遅れないように続いて筆者もかけていく。


座敷の奥にちょっとしたスペースがあり、演者の二人はその真横の障子を開けて飛び出していく。その中央には司会が使っていたスタンドマイクが置いてあるのだった。


そうしてマイク前に到着すると
「ポッキー、アンド」
と授業中に発表するように右手をまっすぐに上げながら筆者が声を張り上げると、プリッツ
プリッツ、でぇ~す」
と声をあげる。

会場は、野太い声と黄色い声、机を叩く音や空のペットボトルを叩く音などが重なった。
完全にボルテージの上がった観客を満足に眺めたプリッツは片耳に手を当て
「略して」
と観客席に呼びかける。
すると、赤ら顔のでき上がった部員やマネージャーが
「ポキプリ~」
と声を合わせて返してくる。


「いやいやいや、今日も盛り上がっていますね、ポッキーさん」
と嬉しそうに始め出すプリッツ
「ほんまですね、プリッツさん」
と一応返す筆者。



筆者はもうちょっとましな入場の仕方があるんじゃないかと思うが、プリッツは自分の考えたこの入場方法が気に入っているらしく、頑として相方のクレームを受け入れることはない。
1回生の時だけでよかったネタは味をしめた相方のおかけで4年間、彼が部を離れていた期間を除いてことある毎の部の飲み会でやることになり、筆者は最後の自分達が引退する時の飲み会まで、この入場からやらないといけなかった。


筆者は恥ずかしいことこの上ない。
しかし、「ポッキーさん」と呼びかけてくる満面の笑みを浮かべる心友の表情は、どうしても憎めなかった。



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