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さて、今回は、手術後のプリッツの話。
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プリッツは左腕のしびれを訴えていた。
それについては医師に話すように言っていたし、実際に医師に症状を伝えていた。
医師は、首の部分を触っているのでそのような症状が出ているのかも知れない、との回答だったようだ。
しかし、日が経つにつれて、左腕以外はしっかりと動かすことができそうなことがわかってきたが、どうも左腕はしびれが残るらしい。
手を握ることはできる。でも腕が上がらない。
素人目でも、なんかおかしいんじゃないかと感じる。
病院がプリッツの左腕を検査したときは、ケガから2週間ほど経っていた。
検査の結果は、左肩の脱臼。
既に脱臼した状態で、プリッツの身体は治り始めていた。
脱臼は、外れた関節を早期に元に戻しさえすれば、治ることは治る。
ただ、一度脱臼すると下手をすると脱臼癖がつき、ふとした場面でも脱臼してしまうことがでてくる。
抜けたまま、治ってしまえば、左腕は一生上がらない。
絶望的な状況から、奇跡的に後遺症なしでいけそうな、そんな様子だったのに一気にまた闇が差し込んでくる。
プリッツの親は、手術が成功したことに安堵していたのに、病院に対して一気に不信感を募らせた。
病院は手術とまたリスクの話をしてくる。
あれだけ訴えていたのに、という思いが空転する。
それは、一番プリッツが思っていることだった。
プリッツの親は沖縄に転院を決断し、プリッツは飛行機で帰っていった。
そしてすぐに手術になる。
プリッツには鉄格子のような金属が組まれている。
それを外そうとしたが、沖縄の病院ではそれに合う器具がないらしい。
そんなことあるのかと思ったが、入院した病院はドイツ製、沖縄はアメリカ製を使っていたようで、スパナを急遽飛行機で持ってきてほしいとプリッツ側から連絡があった。
筆者はもともとプリッツが入院していた病院にすぐに取りに行く。
部で沖縄に行ける人選をして、同級生がドイツ製のスパナを持って行くことにした。
プリッツの手術のためにスパナを持っていく重要な任務。
飛行機を手配し、翌日早朝の便で沖縄に送り込むため、筆者は彼を空港まで連れていくことにした。
翌朝、めざましよりも早く目が覚め、同じ寮に住んでいた彼を起こし、シャワーを浴びて用意する。
車のエンジンをかけ、彼がリュックを背負って、車に乗ってきた。
筆者は車を出発させて、大学構内から正門に走らせていく。
そして、ふと思った。
大事なものなんで忘れ物チェックをしとこう。
現金が足りなければ、飛行機代位は貸してあげようと用意もしていたので。
お金は?
あるよ。
スパナは?
あれ、ない。
彼はリュックをごそごそする。
やっぱりないようだ。
しばくぞ
隣に一緒に送り込みについてきてくれる後輩が爆笑している。
声をかけなかったら、彼は何をしに沖縄へ飛んで行っていたのだろう。
さすがにこの状況で笑える余裕はなかったが、寮に引き返し、確かにスパナを確認して彼を空港に送り込んだ。
沖縄からスパナを受け取ったという連絡が入った。
一安心し、送り込んだ彼から連絡が入る。
プリッツの親が労ってくれ、一泊してはどうか、と。
さっさと帰ってこい💢
仕方ないから、後輩とまた伊丹空港まで迎えに行くことにした。
道中で彼から連絡が入る。
今福岡におる。
はい?
飛行機を間違えたようだ。
全く飛行機ってやつは間違えるととんでもないところに、飛んでいく。
リアルな桃鉄やってる場合じゃない。
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