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さて、今回は、春の選抜の切符を手にして、の話。
筆者は高校の時、
サッカー部だった。
当時、グランドはサッカー部と野球部と陸上部とソフトボール部で共有していて、トラックの中が練習場所だったサッカー部は、ボールをあちこちに飛ばすので、嫌われていたように思う。
野球部のライトからセンターにかけてちょうど陸上のトラックがかぶっていて、サッカーの練習をしていたらフライが飛んでくる。
野球部からはフライが飛ぶと、
危ない
と言われるがどこが危ないのかはわからない。
部費も野球部は0が1つ多く、なんだこの待遇の差は、と嘆いていた。
野球部には負けられない。
なぜか、そんな思いをもっていて、冬にあった部対抗の駅伝の時は、意地を見せていた。
3年になり、それぞれの部活で最後の大会が繰り広げられる。
サッカー部は夏の予選がGW当たりから始まる。
だから、引退は早かった。
早々に終わったサッカー部はぶらぶらし
受験勉強せなあかんなー
と話をしているが、最後の夏の予選を控えている野球部はまだ練習をしている。
まだ、現役を続けられるうらやましさ。
何かに熱中できるうらやましさ。
そんな思いで見ていると、ひたむきにやっている姿に、気がついたら応援している自分がいた。
なんでこんなにも、いがみ合っていたんだろうという位、普通に話ができる。
次の練習試合、がんばれよ、と声をかけられる。
ほんともっと以前から、いい関係を作っておくんだったな。
この春の選抜甲子園大会の出場校が決定した。
兵庫県では母校の野球部が21世紀枠で、初出場。
公立のスポーツ推薦もないような、当時の学区では1番でも2番でもなく3番目の、普通の、他に特徴もない進学校。
しかし、放送部は全国優勝し、演劇部もコンクールで金賞になり、映画化もされている。
甲子園への切符の知らせは、放送部や演劇部と同じように証明して見せた。
普通のひとでも、その可能性は無限大なんだ、と。
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