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さて、今回は、沖縄に帰ってしまったプリッツの話。
過去記事は最後にリンク貼ってますので、よかったらどうぞ。
スパナ大作戦が終わり、手術を無事に終え、かなり確率の低かったフル回復に光明が差してきた。
プリッツはふたたび前を向き出し、筆者は時々電話をとる。
ただ、プリッツの家族に与えた、ラグビーは危ないという意識は、相当な大きさだ。
ただでさえ、大学を辞めさせようとしていたところを、なんとか卒業してというプリッツの思いに、やっと折れたぐらいだから。
部の方は、練習を考え直し活動再開について、それこそ部活の意義から考え直されるような事態になった。
大きなケガがあった。
しかし、それのせいにしてやめると、それはプリッツが自分のせいと受け止めるのではないか。
プリッツには帰ってきてほしいが、ボルトが組み込まれた身体では、実質的にプレーは難しい。
彼がここに戻ってきたいと思うのか、それともある程度の距離を置くのか。
ここは人生の大きな転換点を迎えた彼の判断を尊重するほかない、そういう結論に至った。
そうして、大学にプリッツが帰ってきた。
奇跡的な回復により、左腕も元のようにしっかりと動く。
頑張ったな、大変やったなと、いろいろな人が声をかけている。
彼が大学に戻ってきただけで、十分じゃないか。
また、話せるだけで十分じゃないか。
部の方はプリッツの復学に皆安堵していた。
もう夏前になっていたが、ようやくシーズンか始まったような、そんな感覚があった。
しばらくして、プリッツはトレーニングルームに顔を出すようになつた。
筋トレをして、身体の状態をもとに戻したいようだ。
そうして、またしばらくの日が経った。
ある日、グランドで練習をしていると、マネージャーの隣に見慣れた青いジャージの男が立っていた。
彼は、余っているボールをもって、スクリュー回転をかけながら、ボールをもてあそんでいた。
練習が終わり、円陣を組んで、簡単なミーティングがキャプテンを中心に行われる。
そこで練習に関する意見交換が行われた後に、キャプテンが
他に連絡事項は
と皆をみる。
すると、後ろから
ちょっといいですか
と声がした。
青いジャージを着た彼はキャプテンの横に、歩を進める。
そして
ラグビー部に復帰します!
一瞬の間が開いた。
プレーは出来ないけど、出来ること探してやりたいんで、また仲間に入れてください。
顔を見あわせる者がいる。
涙をこらえきれないマネージャーがいる。
オッシャー
ウォー
と野太い声と咆哮がグランドに響き渡る。
プリッツに抱擁しようとしている部員を、誰かが必死に止める。
笑いと涙で、プリッツはもみくちゃにされた。
チームがようやくフルメンバーなった。
全員がそろう、これだけのことがこんなにも嬉しく感じたことは初めてだった。
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