ジローの部屋

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日頃の生活に、何かプラスになることを。

何か、返ってくるかを期待して

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こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回は、出張先での食事、の話。

では、どうぞ。





先日、他県に行く出張があった。
予定よりも早めの時間について、出張先の場所を確認し、間違いなかったのでさっと昼を取ることにした。
コンビニで何かを買って済ませても良かったが、途中の道中で少し気になる店があったので、そこによることにした。



その店はL 字型のカウンタータイプの海鮮料理の店。
おそらく夜は、日本酒が進みそうな、そんな雰囲気が店の中から醸し出されている。
カウンターの中に、木の栓がしてあり、縄の持ち紐がついている、いかにもな大きな陶器の酒瓶があるからかもしれない。

外の案内板に、定食のメニューがひとつ書いてある。
筆者はそれでいいかと思いながら、店に入り空いているカウンターの席に座った。


カウンターの中には一見60過ぎぐらいの男性が、マスクをして刺身包丁を触っていた。
小鉢の中に手早く一品を盛り付けていっている。
奥には男性よりも少し若い女性がいたが、まだこちらに気づいていないようだった。

男性は無言で作業を進める。
筆者も無言でその様子を見つめる。


メニュー、ないんやろうか。


そして、ようやくこちらに気付いたであろう女性は、筆者におしぼりを持ってきてくれた。
が、おしぼりだけ持ってきてくれた。


メニュー、ないんやろうか。


筆者は様子を見ていると、カウンターの中の男性はゴツゴツした手で、ゴン、ゴン、と軽く音を立てながら、筆者の前のカウンター上に、さっきの小鉢を並べていった。


メニュー、ないんやろうか。


筆者は、周りのカウンターに座っている他のお客の様子を見てみた。
同じような小鉢と茶碗味噌汁のお椀が並んでいる。


メニュー、あれだけやったんや。


筆者は納得した。
郷に入れば郷に従え。


わかりました。


筆者は無言で納得した。
カウンターの中の男性は黙々と作業をしている。
奥の女性がご飯をよそったお茶碗と味噌汁を入れたお椀を持ってきてくれた。
彼女は、「おかわりできますんで」と言う。


おかわりできるんや。


筆者はこの流れで、予想してなかったことを言われ、なぜだか少し得をしたような気がした。
その日の定食は、鯖の塩焼に、マグロの刺身の小鉢があり、きゅうりとわかめと小魚の酢の物、漬物、ご飯、味噌汁と定食にしてはなかなか豪勢な気がした。


食事をしている最中に、他のお客が会計を済ませて行く。奥からまた女性が出てきて対応し、「いつもありがとうございます」と言って見送りをする。
お客は、常連客なんだろうか。
お客はカウンターの中の男性に会釈して出て行くと男性は
「ありがとうございゃした」
と、やや間の抜けた声で口を開いた。


この人しゃべれるんや。


筆者は、箸を止めてしまった。
そして、また自分の時間に戻り、咀嚼を続けた。


また別の客が立ち上がる。
奥の女性が「いつもありがとうございます」と言って見送りをした。


この人も常連なんや


筆者はまた箸が止まる。
そして、カウンターの中の男性を見ていると、そのお客の帰り際に
「ありがとうございゃした」
と、口を開いた。


この人しゃべれるんや


筆者はまた食事を再開した。
定食は美味しかった。
久々の鯖で、久々の青魚。

食事を終えた筆者は、奥の女性に目配せして会計を済ませた。
女性は「ありがとうございます」という。
一見さんには、「いつも」はない。

筆者は「ごちそうさまでした」と言って店を出ようとした。
何か、返ってくるかを期待して。


「ありがとうございゃした」
と反応が返ってきたのを、筆者は背中で受け止めた。


それは変わらんねや


筆者は無性に、またこの店に来たくなった。


追伸
kaze_no_katamiさん、ご指摘ありがとうございます。表現の修正しました。助かります!


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