ジローの部屋

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【短編小説】 福井歳春の杞憂④

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回は、引き続き短編小説の第4話となります。

過去のお話はこちら。

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後半戦が始まります。
では、どうぞ。
















 その時の妻は、福井に電話が繋がったことで、幾分自分を取り戻したようだった。
 しかし、まだ目の前の恐怖が去ったわけではない。


 夫が、場所を聞いてきたこと、警察に通報するみたいなこと、を言っていたことは憶えている。
 他にも何か言っていたかもしれないが、相手が大声で何かを言ってきていたため、よく聞き取れなかった。


 そして、電話が切れた。
 妻は『夫の言葉を信じるしかない』と思ったようだった。



 ちょうどその時、相手は態度を急に変えてきた。なぜか、こちらの心配をするような話をしてきたのだ。

「奥さん、これ人身事故やで、人身事故。わかるかい。罰金や免停になるよ」
「やっぱりな、ものの大きい車の方が悪くなるみたいよ。知り合いがひかれたことがあってな、その相手、ごっつい処分受けとったわ」
「警察で長い時間かけて取調べ受けてな、ほんま大変やで」

 妻はどんどんその状況を自分に置き換えて想像していく。
「そんなの困るわ、私大変なことしてしまったんだわ」
と、聞けば聞くほど取り返しがつかないことをしてしまったかのような気持ちになっていった。

 そして、相手は
「悪いことは言わん。奥さん、示談にしよか」
と言ってきだした。
 


「紀子!」
という声が聞こえた気がした。はっと顔を上げて辺りを見渡す。
 どこからだろうか。
 必死に探してみると、右手に持ち続けていた自分のスマートフォン
「紀子!」
と呼びかけている。


「お、とう、さん!?」
 妻は慌てて、スマホを耳に当てた。




 福井は急に妻から手を握り返されて、ビクッとなった。慌てて手を離して、目をそらす。
「あぁ」
という、ちょっと残念そうな妻の声。急に恥ずかしくなった福井は、妻の顔を見ることが出来ず
「そ、それで、それからどうなったんだ」
と、妻に先を促した。
 しかし妻はなかなか話し出さない。
 どうしたんだと思いながら、福井は妻の様子を少し見てみると、妻はまっすぐにこちらを見ていたので、福井はまた慌てて目を逸らした。

 まるで授業中の教室で、意中の人と偶然目が合ってしまったような気まずさ、だった。



 妻は、少し間を置いてから話し出した。
 なぜか話し出すときに、妻はまた少し口を尖らせているようにも聞こえたが、気のせいだったのかも知れない。

 福井の記憶では、確かパトカーのサイレンが鳴って、妻らの近くでとまり、中から人が2人降りてきて、妻の方へかけてきたように思う。
 警察に頼るのは本当はしたくない。しかし、事態からすると妻のためにはそれが最善。また、パトカーで警察官が2人来れば流石に相手もめちゃくちゃなことは言えないだろうと思った。
 そうなれば、とりあえず妻の身の安全は何とかなるだろう。
 あとは、その後の話を自分が出てやれば、上手く収められるんじゃないだろうか。


 妻の話では、案の定、パトカーがサイレンを鳴らしてやってきたらしい。パトカーから降りて自分の方へ駆けてくる制服の警察官は、妻には救世主のように見えたようだった。

 妻らは2人の警察官によって、別々に事情聴取を受けることになった。相手の男はしきりに
「呼んでもないのに来やがって」
「邪魔すんなや」
「お前らがくるとややこしいんや」
「ええから、帰れ。もう示談で終わるんや」
と悪態をついている。

 妻は相手の大声が聞こえる度に、両手で耳を覆った。そのためか、妻の対応をしてくれた警察官は、大声を出している相手と妻の間に立ち、妻の様子を見ながら話を聞いてくれたようだった。


 三差路の交差点を直進しようとすると、左から自転車が曲がってきたこと。
『ぶつかる!』
と思って急ブレーキをかけたこと。
『ドサッ』という音がして、恐る恐るドアミラーを見ると黒いかたまりが倒れていたこと。
 そこから少しパニックになってしまい、相手を怒らせてしまったこと。


 妻はこれらを思い出しながら、涙を溜めて説明した。
「なるほど」
と言って、妻の事情聴取にあたった若いパトカーの警察官は納得する。そして、妻の車を確認し出した。

「だから言ってんだろ」
 向こうから相手の大声が聞こえた。車を見終えたのか、その妻の応対をした警察官は妻に断りを入れて相手の男の方へ駆けていったようだった。



「警察が来てくれて助かったわ。私一人だけなら、本当にどうなっていたかわからないもの。だってね、・・・」
 妻は少し前の内容に戻って、混乱したときの様子を説明している。福井は正直、ここからどういう風に話が収まるのか、想像がつかなかった。
 妻の話はまた先程のパトカーの若い警察官のくだりまで戻ってきた。
「それでね、さっきのおまわりさんが戻ってきたのよ」



 相手のところに行っていた、先程の若い警察官が戻ってきたようだった。
「今から交通課が臨場します」
と、その若い警察官は言ったらしい。

 意味がわからなかった妻の様子を見かねたのか、若い警察官は説明をしてくれた。どうやら、もう一度別の警察官に事故の状況を説明しないといけないようだ。
 妻は、何度聞かれても同じことしか説明できない、と思った。


 ほどなくして、ワンボックスタイプのパトカーがやって来た。今度のパトカーはサイレンを鳴らしてはいない。
 
 そして、そのパトカーの運転席から背の高い警察官が、助手席から中年の警察官が降りてき、背の高い方の警察官が
「お待たせしました」
と言って、名乗ってきた。


 A警察署交通課、雨宮淳一朗。


 福井は『雨宮』という名前を聞いて、頭の中で過去の聞いた名前を思い返してみたが、思い当たる節はなかった。
 妻は
「その雨宮さんがね…」
と福井の脳内検索の結果を待たずして話を続けているので、福井はハッとした。
『危ない、大事なところだ、聞き逃してはいけない。』
 妻はさっきまでと打って変わって、なぜかテンポ良く話し出していた。福井は少し驚いたが、話がどんどん進んでいくので、質問を差し込む暇がない。




 雨宮という警察官は妻にけががあるか、と聞いてきた。
 妻は全くないということを答え
「でも相手のひとが」
と説明する。妻は視線を向こうの警察官と大声でやりとりしている相手に向けた。

「あの元気そうな方ですね」
と雨宮という警察官は言った。

 雨宮という警察官は一緒に来たもう一人の警察官に声をかけて、相手の方に行き、話をしだした。場所が少し離れているせいで何を言っているのかわからないが、相手は相変わらず大声で話している。
 相手は何か言いながらも、腕の服をまくったり、ズボンをたくし上げたりしていた。それをパシャッとフラッシュが光って写真を撮っている様子が見える。きっと、けがの状態を確認しているのだろう。
 
 相手はさっきまで対応していたパトカーの警察官には文句ばかり言っているように見えた。今度の雨宮という警察官にも散々悪態をついているようにも見える。
 しかし、雨宮という警察官は表情を変えず、淡々とやるべき仕事を進めているような、そんな感じに見えた。

 次に、雨宮という警察官は倒れている自転車を起こして、ハンドルを持ち上げてタイヤをまわしたり、ペダルをまわしたりしていた。相変わらず、妻には何をしゃべっているのかは聞こえない。
 
 雨宮という警察官は相手の自転車を押して、相手とこちらに歩いてきた。
 相手は
「時間がないんや、はよしてくれ。俺は被害者やぞ」
と言っている。
 雨宮という警察官は、続いて相手と妻に対して順番に運転状況の話を聞いていく。
 相手は
「そのへんでぶつかったんや、左手が痛いんや」
「むこうが突っ込んできたんやぞ、ごっついスピードや」
と大声で説明し、雨宮という警察官は道路にチョークでマークしながら説明を聞いている。
 妻はさっきの若い警察官にした説明を、もう一度雨宮という警察官にした。雨宮という警察官はやはりチョークでマークしながら説明を受け
「なるほど」
と答えた。


 そして、一言
「かみ合わないですね」
と雨宮という警察官がつぶやいた。
 相手がその一言に憤慨する。
 妻は思わず後ずさりしてしまった。



「えーっ!!私の説明おかしかった?どうしよ、でももう説明のしようがないのに、と私は思ったのよ」
と言いながら妻は頭を抱えてその時の様子を説明している。
「私ね、何か説明を間違えちゃったのかと思ってね、焦ってしまって。そしたらね、雨宮さんがいきなり
『土井さん!』
って」

 福井は妻がいきなりトーンとボリュームを変えて話したので、ビクッとした。妻はその様子を見て
「そうそう。私もそうなったのよ」
と続ける。

「雨宮さんが急に相手の名前を呼んだみたいでね、さっきまで穏やかな表情だったのにその名前を呼んだときだけ、なんか空気が変わったのよ。私もビクッとして、相手の人も同じようにビクッとしてたわ」
「そして私に背を向けて、『ちょっと、あちらに』と言って、相手の人とまた離れたの」


 妻からは、やはり二人が何と言っているのかわからない。
 ただ、さっきまで大声を出していた相手はなんだか声のトーンが落ちていっている。


 妻はしばらく遠目にその様子を眺めていた。隣にパトカーの若い警察官がいたが、彼もその様子をながめている。 
 そして相手はまた雨宮という警察官と一緒に妻のいる場まで戻ってきた。


 さっきは悪態をつきながら渋々こちらに来た相手のひと。
 それが、頭をかきながら
「奥さん、えらいすいませんなぁ。ケガもたいしたことないですわ。ちょっとわし急いでるよって、示談もなしでいきましょか。連絡先も聞きませんわ」
と言ってきたから、妻はまたビックリした。



「それがね、ほんとにね、もう別人なのよ。なんていうか、トイレ行きたくて我慢してて、もういいからいきますわ、みたいな感じでね。」
「さっきまであれだけ怒ってたひとがよ、おとうさん。わかる?」
 妻は興奮気味に話している。初めの様子はこんなのだったのに、という話をそれから3回は繰り返した。福井は、次の展開の説明を待ちながら、適当に相づちを打つ。

「わかる?おとうさん。それで雨宮さんがね、私と交番行くって言い出して」



 雨宮という警察官は
「こちらの方はこれから交番で引き続き事情聴取します」
と相手に伝えた。相手は
「チッ」
と舌打ちして
勝手にしやがれ
と言って、普通に自転車を持ち上げて、跨がり、こいで行ってしまった。

 妻は、
『まだ話があるんだわ、やっぱり処分があるのかしら』
と考えて落ち込み、指示されたように雨宮という警察官が運転するパトカーについて自分の車を走らせていった。

 パトカーは大通りを目指して赤いランプを光らせながらゆっくりと進んでいく。妻は適度な車間距離を空けてこれについていく。

 大通りに出る前にパトカーが信号で停止した。妻もそれに続いて停まる。その交差点には、細い路地が脇道となって妻から見て左側につながり、ちょうど五差路になっていた。
 妻は一時停止した際に何気にその脇道を見た。
 すると、交差点から離れた少し奥まった位置にさっきの自転車の相手がいた。歯を食いしばって、こちら方向を睨んでいた。妻はさっと目をそらしたが、なんとなく自分とは目が合わなかったように思って、おそるおそるもう一度相手を見た。
 よく見ると相手の視線は妻ではなくて、少し前、つまりパトカーの方を向いていた。
 妻は目線を前に戻す。ちょうど信号が青に変わったようでパトカーが発進して右折していった。妻は慌てて指示器を出して続いて右折していく。

『左折して少し進んだ道沿いに交番があるのに、どこにいくんだろう』
と思いながら。


第5話に続く。



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【短編小説】 福井歳春の杞憂③

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回も短編小説の続編となります。
第1話
surrealsight.hatenablog.com
第2話
surrealsight.hatenablog.com

本日は6話ものの第3話。


では、どうぞ。

















 福井は訝しがるように、自分のスマートフォンを耳から離して眺めてみた。そして、よく聞き取れなかったが、『○○みや』とか言っていた、妻の言葉をもう一度思い出した。

 福井は仕事柄、仲間から色々な警察官の名前を聞いている。

 こういう名前のやつに、横柄な対応をされた。
 ○○というやつに、こんな杜撰な対応をされた。

 これらの記憶は言わば、この業界で生きていくための予備知識。
 そんなやつが自分の対応をしようものなら、しっかりと構えていかなければならない。事と次第によっては、生活に直結することになるからだ。
「そんなおまわりの名前、聞いたことがないな。」
福井は独り言ちて、5本目のタバコに火をつけた。ふ~っと煙を燻らせて、広がって薄くなっていく先を見た後に、ため息をついた。
 そして、視線を落としタクシーの窓ガラスに自分で貼った「禁煙車」というステッカーが目に入る。
「しまった、やってもうた!」


 その日、業務を終えて会社に戻ると運行管理者の業務課長に呼び出された。ただでさえ流れの悪い日だったのに。しかもそんな日に限って、タバコ嫌いのお客が乗っていて、会社に後で苦情が入ったのだった。
 あの後、福井は常備しているブレス○アとファ○リーズをトランクから取り出し、しっかりと使ったはずだった。口の中と服、それに車内にはそれらは最大限に効力を発揮していた。しかし、肺の中に届いていなかったのだ。
 ここはもう、平謝りだ。口答えしようものなら、どんな罰が飛んでくるかもわからない。
「全く、なんて日だ。こんな日は、さっさと帰ってビールを飲んで寝るに限る。」


 いつもなら福井は夕方には目が覚める。しかし部屋の窓の向こうはすっかり暗くなっていた。隣の居間のテレビから、あらかじめ用意された笑い声が漏れている。
 福井は寝ぼけながら時計を見て、徐々に自分の置かれている状況を理解していった。ばらばらに働いていた五感が、徐々に重なっていき、自分の感覚に追いついてくる。
 ・
 ・
 ・
 えっと、なんか大事なことがあったような。


『そうだ、紀子の事故!』


 ガバッと布団から飛び起きて、居間へ続くドアを開いた。妻は、テーブルに肘をついてテレビを見て笑っている。先程漏れてきていた笑い声はバラエティ番組によるものだった。

「事故の話はどうなったんだ」
「おとうさん、おはよう。けっこう寝てたわね。ご飯にしようか」
「なに呑気なことをいってんだ。だから事故の話はどうなったんだ。こっちはおかげで会社でとばっちり食らったんだぞ」
 妻はポカンとしていた。おそらくとばっちりがつながらなかったのだろう。


 妻は気楽な感じで話し始めた。妻の話は多分に主観が入る話し方なので、目の前で話している彼女の話を要約していくとこういうことになる。



 昨日、妻は家の車の小型乗用車に乗っていつものスーパーに出かけようとした。福井の自宅は小高い丘の住宅街の中にあり、広い通りに出るには少し住宅街の中の狭い道を通らなければならない。自転車や飛び出しの歩行者もいるため、福井は妻に速度を出さずに気をつけるように言っていた。妻もそれは、ちゃんと守っていたように思う。
 妻は車を、いつも通りに走らせていた。住宅街の中は速度を出さずにゆっくりと。
 そうして、妻の車は公会堂の前の、左側からの道が交差する交差点にさしかかった。妻からすると左側は建物により見通しがきかない。


 場所は福井の予想通り、だった。


 そこから急に黒い大きな影が、妻の車の方へ向かってきた。フロントガラスの左前から、一気にこちらに迫ってきたかと思うと、左側方へ流れるように。

『危ない』
と妻は思って、急ブレーキを踏む。思わず、目をつぶって。タイミング的には、間に合わないような、とっさの反応だったようだ。
 車がつんのめるように止まり、左後方から
「ドサッ」
という鈍い音が聞こえたらしい。

 妻は恐る恐る目を開けて、ゆっくりと左のドアミラーに目をやった。黒い何かが地面のところでうごめいているのが見えた。
 妻は今まで聞こえもしなかった自分の心臓の鼓動が、急に明確に聞こえだしたようだった。

『ドクッ、ドクッ、ドクッ』
 



 妻はここまで一気に説明すると、大きく息継ぎをした。さっきまでの気楽な表情は、もうない。まるで、その現場からここに移動してきたみたいな状態だ。
「もう、びっくりしたのよ」
「急に出てきたのよ、急に」
「私の方へ飛び込んで来るみたいに」
「ちょっと、聞いてる?本当に怖かったのよ」
 妻の言葉はさながら、弾切れのないマシンガンのようだ。思いつく限りの言葉があふれてきている。恐怖に対する弾幕を張るように。

 福井は
「わかった。びっくりしたのはわかった。」
と手を前に出して、大げさに相槌を打つ。そして、また話を前に進めるように促した。
 子ども扱いをされたように思ったのか、オーバーだなとこちらが思っていると邪推したのか、妻はやや不満そうな表情だ。

 妻はまた話し出す。
 ただ、そこからは言葉がかなり減っていった。
 説明がうまく出来ないのは、電話で聞こえた声の主が絡んでくるからだろうか。そして、おそらくその声の主に対する、恐怖心。

 


 妻はうごめくものを見て、
「ぶつかってしまった」
と咄嗟に思ってしまったようだった。今まで経験したことのない、交通事故というアクシデント。  
 慌てて、
「どうしよう、どうしよう」
とつぶやいて、妻は車から降りて、うごめくもののところへ恐る恐る歩いて行った。

「いってぇ」
という声に
「ひっ」
と妻は思わず声に出し後ずさりする。そして恐る恐る
「だ、だいじょうぶですか」
と、自分の声を振り絞る。すると
「大丈夫なわけねぇだろ」
という尖った声が返ってき、妻は一瞬で凍りついてしまった。声の主である男性は、自転車と共に倒れたまま、巻き舌でまくし立ててきた。

 妻が一番関わりたくない部類の「ひと」。それがどうやら、今回の相手のようだった。
「痛いやんけ、どうしてくれんねん。ぶつかったやないか。自転車も傷だらけや。ほんま、どないしてくれんねん」
 妻は一気に圧倒されてしまって、咄嗟に
「すみません」
と謝った。
 相手はさらに何か言っている。しかし妻は「すみません」と言って頭を下げながら、大混乱だ。
 妻はその中でなぜか『夫である福井に電話しないといけない』と思ったようだった。なぜその時にそう思ったのかはわからない。相手はまだ何か言い続けているが、妻は必死だった。

 スマホの待ち受けを、さっと点灯させショートカットキーとして以前に息子が画面に貼り付けていた夫の連絡先を押す。仕事中は自分の連絡が、夫の交通事故に繋がるといけないと思い、連絡を入れないようにしていた、その電話番号。


「でも、その時はそうしなければならない、と思ったのよ。」
 妻は一点を見つめて、そうつぶやいた。手にはスマートフォンを握りしめていたが、その手は小刻みに震えている。
 そして、妻は福井を見て、ぎこちない笑顔を作った。

 福井は、震えているその妻の手を、自分の両手でそっと包んだ。
 妻は驚いた表情をしている。福井はそれに構わず
「もう、大丈夫だ」
とゆっくりと言った。


 妻は、大きく息を吐く。
 そして、小さく2回、頷いた。


 福井の両手に妻の鼓動が伝わってきていた。

 
 福井はそのペースが落ち着くのを、待つことにした。



第4話に続く。



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【短編小説】 福井歳春の杞憂②

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
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さて、今回は、始まりました短編小説、6話ものの第2話。
第1話はこちら。
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では、第2話をどうぞ。












 妻から連絡があった。
 
 これまで福井の勤務中に電話をかけてくるなんて事は普段は絶対にしてこなかったのに、だ。福井はその時、たまたま駅のロータリーで順番を待っているときだった。


 妻は、慌てた様子で
「ちょっとおとうさん、どうしよう、どうしたらいい」
と言ってきた。
 電話の向こうから
「痛いやんけ、どうしてくれんねん。ぶつかったやないか。自転車も傷だらけや。どないしてくれんねん」
という声が漏れてきていた。
 福井は妻に対して
「自転車とぶつかったんか」
と聞きながら、時計を見た。
 時刻は、午後2時すぎ。普段なら車に乗って妻の紀子は夕食の買い物に出かける時間帯だ。

「ほんっとうに、すみませんでした。」
と電話の向こうで、何回も謝る聞き慣れた声が聞こえる。それに答える巻き舌の声。どうも、普通の人ではないようだ。

「おい、聞こえるか。」
と福井は言って、一呼吸置き
「場所はどこだ?」
と続けた。
 妻からの反応が遅かったが
「えっ、あ、公会堂のとこの」
と返ってきた。

 福井の脳裏に、フロントガラス越しのマイカーの視界が広がる。自宅のガレージから発進して、路地を右左折して緩やかな下り坂を大きな通りを目指していく。
 そうすると右手に近所の公会堂が見えてきた。  
 ちょうどその公会堂の玄関前に、福井から見て左へと続く道と交わる交差点が見えてくる。車はその交差点を直進しようとしていた。左の道へは、民家の塀ですこぶる見通しが悪い。

「ここか」
と、福井は一人つぶやいた。そして、次の瞬間、車は、とっさに急ブレーキをかけた。身体が前のめりにつんのめり、シートベルトがギリギリッと音を立て、全力で福井の体重を支えた。

 
 福井の脳裏のスクリーンは、一瞬暗くなって、また徐々に明るくなっていった。
 そうして、見慣れた駅のロータリーが広がった。


 妻が連絡してきたその場所は、福井のいたロータリーからはかなり遠い。そして声の様子からして、妻には余裕がない。
「今から110番する。その後、すぐにかけ直す」
「わかっ」
 福井は妻の「た」を聞く前に電話から耳を離して、電話を切りすぐに慣れた手つきで、発信画面を開き、110と表示させコールした。

 1コールして、すぐに『ガチャッ』とつながる音がする。
「はい、110番です。事件ですか、事故ですか。」
「あの、妻が事故を起こしてしまったみたいで、すぐに来て欲しいんです。」
「え、私の名前ですか?そんなことより早く行って欲しいんです。へんなやつに絡まれているんですよ・・・」


 福井歳春は、68歳。
 この道30年のタクシードライバーだ。彼は元々商社に勤めていたが、人間関係から数年で辞めてしまい、新聞の広告で見つけた「運転手募集」とあった記事で応募して以来、タクシー運転手として勤めてきたのだった。

 長年、この業界にいると、いろんな人に出会う。感じのいいお客さんも贔屓にしてくれている年配のご夫婦もいる。ヤクザのようなお客もいるし、知り合いは強盗にも遭っていた。
 そしてそれは警察に対しても言える。交通違反の取り締まりをしているおまわりも、交通事故を処理する交通課のおまわりも、なぜかタクシーの運転手には偉そうにものを言ってきたり、対応が冷たかったり、していた。
 西園寺の話もそうだ。
 そして、一度決めた結果は、頑として覆らない。
 だから、福井は警察が大嫌いだった。

 
 しかし、今はそんなことを言っている場合じゃない。妻がトラブルに遭っている。自分が行けるのならすぐにでも行きたいが、場所が離れすぎていた。タクシーで飛ばしても30分はかかる。その間に、何かあれば取り返しがつかない。


 110番の通報をし終えた福井は、すぐに妻に折り返した。3コールほどして、ガチャッという音がする。
「もしもし、警察に通報したぞ。大丈夫か」
と福井は一気に話したが、電話口には妻の反応がない。

「すみませんでした。補償は保険会社に連絡していたしますので」
「いやいや、保険通しよったら保険料かなり上がるで、示談しよか」


「おい、紀子。電話に出ろ」
福井は、勝手に話が進んでいく状況に危機感を覚えた。 

「奥さん、教えたるわ。警察に言うたら罰金もくるし免停にもなるで」
「そうなんですか、それは困ります。免許がないと困るんです。うちは坂の上に家があって」
「せやろ。だから言うたっとんやないか。それでな、こういうときはな、車が悪くなるんやで、奥さん。俺はいろいろ知っとるんや」

 福井は、何度も
「おい、紀子」
と呼びかけるが、妻は完全に相手のペースだ。おそらく、電話に出るつもりじゃなくて、呼び出し音を切ろうとして、間違えて通話ボタンを押したのだろう。

「何をしているんだ警察は。さっさと、それこそサイレンでも鳴らして行くときだろ。」

 福井は、自分のスマートフォンに向かって吐き捨てた。
 その時、電話の向こうから、イメージしていたサイレンのような音が聞こえたような気がした。福井は、スマートフォンのスピーカーを自分の右耳に押し付け、音を確かめる。その音はだんだんとボリュームが大きくなっていき、まさしく福井が待ち望んでいた聞き慣れた音だと確信できた。

 福井は
「紀子、紀子」
と妻の名前を呼ぶ。すると、
「え、おとうさん!?」
という声が聞こえた。そして
「え、電話つながっているの?」
と語尾を上げた声がしてから、一気に
「ちょっと、大変なの」
と、ようやく会話になった。福井は、少し安堵して
「もうすぐそっちに警察が来る。相手と勝手な話は絶対にするな」
と伝える。妻は
「えっと、えっと」
と状況を整理しようとしている。そこに
「おい、誰としゃべってんねん」
という声が重なってきた。

 3人の会話が入り交じる。そしてそこに、最大限のボリュームになったサイレンが、割って入ってき、急にしぼんでいった。

 『ガチャ、ガチャ』という音が聞こえた。そして、タクシーのクラウンコンフォートとは違う、少し低めの重たい『ドン、ドン』という音が続く。タクシーの無線と似た音と、間隔が狭い『タッ、タッ、タッ、タッ』という音が近づいてくるように聞こえた。
「警察にちゃんと説明するんだ。後でもう一度電話できるか」
「おまわりさんが来たわ。わかったわ」
紀子の声は、ようやく上ずりがやや落ち着いた。
 福井はスマホの終話ボタンを押そうとした。スピーカーから
「チッ」
という音が漏れる。福井はそれを気にとめることなく、終話した。


 通報から約5分。
 福井にとっては、とても長い5分だった。長距離運転が終わった後のように、福井は大きく息を吐いた。
 現実に戻った福井は、ロータリーの様子を見渡す。タクシー乗り場には、タクシーを待つお客はおらず、福井のまわりに4、5台の仲間のタクシーが停まっていて、皆車から降りてこっちを見ていた。

「さぁ、仕事だ、仕事」
福井はなんだか固まってしまった状況を切り崩そうと、一人声に出してみた。しかし、こんな騒ぎの後はなかなか仕事に集中できない。ロータリーにいた運転手仲間は福井の形相と電話の内容から、だいたいの状況を察してくれていた。
「福井さん、会社には上手いこと言っとくからさ、休憩ってことでどっかで奥さんからの電話待っときなよ。ほら、いつもの公園のところとかどうだい。たいして人もいないし、外で電話出来るだろう。」
 福井はそんなこと全く考えてなかったが、そう言えばタクシーにはドライブレコーダーがあってすべて記録されている。私用で無線も取らずにずっと電話をしていたとバレると会社向きはやっかいだった。さっきは、幸か不幸かたまたま車外で電話をしていた。
 ここは、仲間の提案に乗るのが良さそうだ。
 福井は仲間に礼を言って、ロータリーを後にした。


 普段は勤務中に吸わないタバコが、4本も進んだ。なんとか気持ちを落ち着かせるためにはこれしか思いつかなかったのだ。どれくらいの時間が経っただろう。
 そうして、ようやく妻からの連絡がかかってき、思考を遮られた福井は慌ててしまい、スマートフォンを落としかけてしまった。

「おとうさん、もう大丈夫よ」
 妻はなぜか落ち着いた声でそう言った。
「何が大丈夫なもんか。警察はどうなったんだ」
「おまわりさんはここにいるわよ。私、今、駅前の交番にいるの」
「交番!?」
 福井は、なんでそんなところにいるんだと、考えを張り巡らせた。

「相手はどうなったんだ。痛いとか言うてたんじゃないのか」
「それがね、もういいんだって」
「は?」
「だから、もういいって。相手の人、帰られたのよ」  
「帰ったぁ?」

 この展開はさすがに想定外だった。
「とにかく、おまわりさんもあと少し話をしたら私も帰れるって。」

『事と次第では出るところに出ないといけないかもしれない。』
 そう思った福井は、その警察官の名前を妻に聞くように言った。
 妻は
「○○みやさんよ、交通課だって。」
と言っている。
 
 そんな名前ぱっと出てこないな。
 福井がそう思っていると
「おとうさん忙しそうだから切るわね。ありがとう、おとうさん」
と妻は言ってきた。
「え、ちょっと待て、おい!」
と福井はその声を追いかけたが、『ブチッ』という音がし、規則正しい『ツー、ツー、ツー・・・』という音が耳に残るように流れていた。




第3話へ続く。


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【短編小説】 福井歳春の杞憂①

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回は、ようやく書き上がった久々の短編です。
このお話は、6話ものとなっています。
1話ずつ、まとめ読み、時間のあるときでも、お好きなペースでお越し下さいませ。



では、第1話をどうぞ。

















「だから、やってくれって頼んでるでしょう」

「なんでそれができないんだ」

「警察が見つけてこないと信用してくれないんだろう」
 福井歳春は必死に訴えた。

 対応する警察官は
「忙しいんだ。あなたの同僚の事故だけ担当しているわけじゃない。今からも出かけないとだめなんだ。さぁ、お引き取り下さい」
と表情すら変えようとしない。

 福井は
「それじゃ、あんまりじゃないか。相手が青だと言ったら警察はそれを信じるのか。
俺たちは免許で食べてんだ。こんな間違った処分で取り消しになったら食っていけないじゃないか」
と机を叩いて懇願する。

「あいつはこれまで真面目にやってきたんだ。赤信号無視なんてするわけないんだよ。相手が信号無視なんじゃないのか。頼むよお巡りさん、ちゃんと調べてくれよ」
「福井さん、同僚の肩を持ちたい気持ちはわかるけどね。あの人は運が悪かったんじゃないの」
「お巡りさん、運とかじゃねぇよ。生活がかかってんだよ。ちゃんと捜査してくれよ。あの街角に立っている目撃者捜しの看板、あれもうないのか。あれ立てるだけでもやってくれよ」
「何度も説明してるけど、福井さん。もう終わった事故なんよ。自分の運転状況を説明できないってのは、つまり赤信号を見落としたんだ。
 言いたくはないが、あんたらプロのドライバーだろ?それって致命的なんじゃないのか。
 再捜査なんてできない。
 誰も見てた人もいなかったんだ。悪いけど諦めてくれ」
「簡単に諦めろって言うけどな、生活がかかってんだよ。あんたらがちゃんと調べてくれなかったせいで、あいつ会社を首になったんだ。辞めさせられることのないあんたらにわかるか。」
 福井は勢いに任せて一気に言い終わった後、「やっちまった」と思った。
 明らかに対応した警察官は気分を害した表情をしている。

『だめだ、こいつらにとりつく島はない。』


 約10年程前、福井の同僚、西園寺公也は勤務中に交通事故を起こした。それも相手は生死の境を彷徨う重傷の交通事故だった。
 信号のある交差点で、西園寺が運転中、左の道から自転車が飛び出してきたらしい。らしいというのは、逮捕された西園寺が釈放され、福井が会いに行った際に本人から聞いたから、なのだが、実のところ本人もはっきりとその状況を憶えていないようだった。

「歳春さん、俺は嘘は言わないよ。これまでちゃんと交通ルールを守ってきた。お客に怒られたって、運転席のシートを蹴られたって信号無視はしなかったし、速度だってそこまで出さなかった。おかげで営業成績は下から数えた方が早かったよ。歳春さんは成績がいつも上の方で羨ましかったなぁ」
「お前言ってたじゃねぇか。個人タクシーの申請もうちょっとだったんだろ?」
「そうだったなぁ、あとひとつき。後1ヶ月無事故無違反でいけたんだ。もうちょっとだったのになぁ。一緒に住んでた母親が施設に入れるようになって、それで仕事を休むこともなくなって、ここまで積み上げてきたんだけど、パァになっちまったなぁ。」


 西園寺は福井が入社した後にすぐに入社してきた福井の後輩だった。入れ替わりが激しいタクシー会社の中でいつの間にか二人は古参のドライバーになっていた。
 福井は時々、速度や一旦停止の違反で警察に停められたことがあったが、西園寺は全く違反がなく、かつ事故ももらい事故だけで自分から起こした事故はなかった。
 西園寺には、西園寺なりの考えがあった。

 西園寺はがつがつやるタイプではない。どちらかというとコツコツやるタイプだ。そういう性格なので売り上げを上げていこうとしてもなかなか上がらない。
 しかし、タクシー業界には『個人タクシー』なるものがある。これには申請時の年齢制限やタクシー乗務歴、無事故無違反歴などが必要になり、タクシー運転手を1年や2年やり出しただけでは申請出来るものではない。
 西園寺は、それにかけていた。
 これまでは継続した勤務が親の介護の関係で出来ていなかったが、ようやく施設が見つかり、自分の自由な時間が作られるようになった。
 個人になれば、会社に売り上げをはねられることもないし、休みも自由に設定できる。
 また、タクシーの業界では自分の営業エリアというものがある。簡単な話、縄張りだ。誰しもがお客の回転のいい、かつそこそこの距離を走らせてくれるエリアで仕事がしたいものだ。例えば大きな駅のロータリーなんかはそれに当たるが、古くからの運転手が取り仕切っていて、新参者はおいそれとはそこに入ることはできないのだ。
 ところが西園寺はこの業界での仕事は長く、顔なじみの運転手も多い。彼が客待ちをしているターミナル駅は、運転手仲間の内では質のいいお客が乗ってくれる場所だった。そのため、ある程度の見通しが西園寺の中で出来ていた。個人でやっていけば、収入は上がって親の施設の費用も工面しやすくなり、生活は劇的とは言えないものの改善はすると予想していたのだ。


 あの日、西園寺はいつものように乗務についていた。
 駅から遠方への依頼で年配の女性が乗り込んできた。彼は、女性から話しかけられた話題が程よく続くように返事をしたり、相づちを打ったりしていた。
 車は片側2車線の右側車線を走行していく。
 お客の女性は、だいたいいくらぐらい運賃がかかりそうか、聞いてきた。西園寺が、だいたいいくらぐらいだと答えると、お客は財布を探し出した。
 西園寺は車を停めて、メーターも止めて、落ち着いて探すように言おうかとした。走行中の車の中でずっと下を見ると気分を崩す人もいる。それは長年の経験からくる、彼なりの心遣いだった。
 
 そう思案していると、その女性は
「あったわ!」
と、安心した声でつぶやいた。
 西園寺は何気にバックミラーを見て、お客の安心した表情を確認した。
 そして
「よかったですねぇ。」
と話した後、視線を前に戻した。

 その一瞬だった。



「歳春さん、スローモーションってあるんだな。初めて見たよ。夢みたいだった」
 唐突に西園寺がつぶやいた。
「僕は目一杯ブレーキを踏み込んだ。これでもかっていうぐらい。でもね、どう見ても間に合わない。左前に見えた自転車がゆっくりと、でも確実に迫ってくる。」
「頼む、避けてくれ。頼む。そう思っても声は出ない。」

 スローモーションは唐突に終わりを告げ、現実は急に通常再生される。それまでがあまりにも遅かったので、早送りでもしたかのように。
 物凄い衝撃が前からやってきた。フロントガラスは一気に見えなくなり、ガラスが飛び散ってきた。ハンドルに伝わる揺れも収まらない。

 西園寺にとって、それは夢ではなく紛れもなく現実の話だった。
 



「お、俺は、取り返しのつかないことを、やってしまった」
 西園寺は震えながら話していた。福井は、そう言った西園寺の表情が忘れられなかった。 
 あれから西園寺は会社に来なくなった。


 西園寺の事故の相手方は幸い一命を取り留めた。死亡事故にはならなかったのだ。相手がまだ比較的若いことが少なからず影響していたのかもしれない。
 当然、職業運転手として交通事故、ましてや相手が瀕死の重傷の人身事故を起こした上、警察に逮捕されるとなれば、社内でも処分が待っている。
 会社の当初の判断は首だった。相手は一命を取り留めたとは言え、未だ意識不明でいつ亡くなってもおかしくはない。ただ、同僚からの嘆願と当時の乗客が必死に会社に「自分せいだから」とかけ合ってくれた。
 その甲斐もあって会社は懲戒会議を開き、彼を首にすることなく、電話当番や無線手配の仕事に就くように判断を変更した。
 しかし、西園寺はこれを固辞し、会社を去って行った。
「会社に本当に迷惑をかけてしまったから」
と、伝言を残して。


 福井は出勤すると隣の車庫を確認する。
 いつも福井よりも早くに出勤していた隣の駐車場の使用者は、クラウンコンフォートの代わりにピカピカのワゴンRを駐めていた。
 そして、雨じゃない限り、洗車場に使用者はいて、鼻歌交じりに営業車の洗車をしていたのだった。
 
 洗車場でよく見かけていたクラウンコンフォートはしばらく修理工場に行っていた。そして、後日壊れた部位を補修して戻ってきた。
 しかし、それがワゴンRと入れ替わって、実働することはなく、ずっと埃をかぶったままだった。

 
 あの事故の後、冒頭のように福井は地元の警察に掛け合ってみたが全く意味がなかった。福井は自分の無力さを痛感し、何の役にも立てず励ますことすらできない自分を悔いた。

 そして、あれからいくつもの季節が過ぎていった。

第2話へ続く。


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新たな短編の、完成!

皆様、ご無沙汰していました、ジローです。
本日もご訪問下さりありがとうございます!
おかわりないでしょうか。

今日は、とうとうゴールにたどり着きました、という報告です。
surrealsight.hatenablog.com
surrealsight.hatenablog.com
surrealsight.hatenablog.com
surrealsight.hatenablog.com
ここのところなんとか書き上げようとしておりまして、他の方の記事にもほぼお邪魔せず籠もっておりました。

そして、紆余曲折を経て、ようやくひとつのゴールにたどり着きました。

前回とはまた違った展開で、少し違った味付けをしておりますが、自分でも試験的なところもあり、これが面白いのかどうかはちょっと自分ではわかりません。

今回は、6話ものとなります。
1話あたり確か4000字いかないくらいの分量です。

明日より午後8時頃に、公開して参ります。
1話ずつでもまとめ読みでも、お好みでどうぞ。


surrealsight.hatenablog.com
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教室の中のもの、と聞かれて思い浮かぶもの

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


徐々に再開モードですがなかなか立て込んでいるところです。
まだ、以前の記事のコメントのお返し途中ですが、それはそれで進めて参ります。
暇を見つけて、記事も少しずつ。

さて、今回は、教室の、とあるもの、の短いお話


では、どうぞ。








仕事で高校の教室を借りる機会があった。
母校ではないけれども、高校の教室という空間は、本当に久しぶりだった。

教室の中の黒板の方に近づいていくと、粉っぽいチョークの匂いがする。
以前に、たまたま聞いていたラジオの DJ が、「教室の中で思い浮かべるもの」をお題に番組を進行させていたが、その時筆者が思いついたものは『黒板消し』だった。

確か「ラーフル」とも言う、あの黒かったり緑色ぽかったりする、黒板消し。
パンパン叩くと、一気にチョークの粉がモクモクと上がってくる、黒板消し。
やたら音のうるさい、専用の掃除機がある、黒板消し。

なぜかその時は、それが頭に思い浮かんできた。

以前にも書いたが、黒板消しにはちょっとした思い出がある。

なんだか久しぶりにそういう当時の雰囲気を思い出して、使い終わった教室の掃除を懐かしさを覚えながらしていた。


黒板消しを使って、黒板を縦方向に消していき、一度粉を綺麗に落としてから、その綺麗になった黒板消しを使って、今度は横方向にゆっくりと流していく。
そうすると、随分と黒板は見やすくなる。


surrealsight.hatenablog.com

やっぱり黒板消し専用の掃除機の音はうるさかった。
この粉の感じ、まともに吸い込んだら咳き込みそう。

でも、この感じが『教室』なんだよな。


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おかげさまで

おはようございます。

おかげさまで、次女はコロナではなくただの発熱で収まりました💦
温かいお言葉やお気遣いを、皆様本当にありがとうございました🙇

まずは以前の記事の返信などから活動を再開いたします💨

ブログ開設、一周年

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。



さて、今日はひとつご報告を。




ようやくと言うか、まだやったん?というか、そんな話が出てきそうなこのジローの部屋は、本日、ブログ開設一周年となりました。
ここまで続けてこられたのは、ひとえにこうして訪問して、コメントやスターなどをくださる皆様のおかげです。
本当にありがとうございます🙇



そもそも、筆者がこのブログを始めたきっかけは、個人の Facebook で今の記事よりかは随分と少なめの文量となるつぶやきを書いていたのですが、そこでこのブログと似たようなスタンスで書いていたもので、Facebookの世界ではちょっと変わったやつ、みたいな感じだったのです。

ただ、リア友の何人かは本を書いてみたらいいのにとか、今までの記事をまとめてみてよとか、そういうお世辞を言ってくれる人もありました。

筆者も少し長い文量で書いてみたいというものがあり、また顔を知ってるリア友以外の人が果たしてどのような反応をされるのかというところも、気になるところでした。


そういう経緯で始めたこのブログ。



いくつかのサイトを見て回って、無料で始められる評価の良いブログがこの「はてな」の世界。

初めて PV がカウントされた時、初めてスターが付いた時、初めてコメントを頂いた時、こんなブログでも見てくれるんやと純粋に驚いてしまって、ブクマコメントに返信できないと焦ったり。

初めて書いたブログは、当時巨人からロッテに移籍したピッチャーの澤村の話。
surrealsight.hatenablog.com
今はもうメジャーで大活躍しているが、スポーツやメンタルのことについて書いてみようかなと思っていましたが、振り返るとそんなに本数はないような気がします。

記事はどんどん進んでいき、PV 数を気にするようになってきて、アフィリエイトもやってみようかと思ったり、連続投稿を続けてみたり。

ただそんな流れも、途中で方針変換して、もともとやってみたかったオリジナルの短編小説を書いてみようと考えていると、子どもに先を越されました(;゜O゜)
surrealsight.hatenablog.com

そして、ようやく出来上がったのがこちら。
surrealsight.hatenablog.com
これから後にもう1本。そして、現在進行形の作品も、その流れを受けて。


字ばかりの、たまーに写真が入る、飾らないブログ。
ただ自分の中では、この形が自分なりの特化ブログ。
そして、それが誰かになにかひびくように。
surrealsight.hatenablog.com




現在このブログは、延べ約30,700人の訪問者さま、読者登録してくれた方520人、投稿した記事数242本。


あきっぽい性格の筆者ですが、1年でかなり上出来じゃないかと。

そして、これも通過点。

次の目標は、もうすぐゴールとなっている短編小説終わらせること、そして記事数300本越え。

毎日は書けないけれど、仕事の波を受けることもあるけれど、ぼちぼちと記事を書き、ご無沙汰している方の記事にもお邪魔しながら、続けて参ります。
今後とも皆様お付き合いくださいますよう、よろしくお願いします。




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>ブクマコメントありがとうございます!
3回連続10cm (id:sankairenzoku10cm) さん
ありがとうございます!ようやくこの時点を通過です。ちょっとこれでブログやってますって胸張れます😅
トビウオギタオ (id:mr_redwing_children) さん
ありがとうございます!同世代の共感者、ほんと助けてもらいました。モチベーションにもなりましたし✨
自分のオリジナル路線をこれからもつきつめていきます!
tamaminao (id:tamaminao) さん
ありがとうございます!延べ人数なんですけど、本当にすごいことですよね😲最近はしばらく書いてなくても、久々の投稿にたくさんの方が訪問してくれたりして、あぁ、まだやっててもいいんだ、って思えました。
つきな (id:misojinokinpathiseikathu1) さん
ありがとうございます!つきなさんのように3年目までいけるかなぁ。コツコツと積み重ねていきたいです!時々休んで、ぼちぼちとですね✨
ちまりん (id:chimaring) さん
ありがとうございます!ちまりんさんにもたくさん応援をしていただきました🙇次のものを各モチベーションをたくさんいただきました。また頑張っていきます!
Koushi (id:aka_koushi)さん
ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いいたします!いい意味で他人に刺激を与えることができれば、これってとても嬉しいことですよね。
テイルズ (id:MyStory) さん
ありがとうございます!本当ですね、2周年、3周年を目指していきたいです🔥
たまにガンダムものとかでコアな絡みをしてしまっていてすみません🙇なつかしくて、ついつい…。
電子レンジャー (id:lambamirstan)さん
ありがとうございます!本当に継続は力なり。その時々の状態で、キツいときはキツいなりに少しで、いけるときはそれなりにとメリハリつけて続けて行きたいですね。今後ともよろしくお願いいたします。
KAKA (id:decobocode)さん
ありがとうございます!
はったり感があってまだ一年生だったんです。
身長が高いので大人に見えたのかも笑
Pちゃん (id:hukunekox)さん
ありがとうございます!そしてPちゃん (id:hukunekox)さんもいつも応援してくださりありがとうございます。Twitterのとかげの話がついこの前の話のようです笑
新作頑張りますね!
defective (id:defectiveness)さん
ありがとうございます!
マイペース、大事ですね!
ここの世界でよくわかりました。誰かとはりあうものでもなく、自分の表現を続けていく。
ながくやっていくために大切にしたいなと思います。

おはこんばんちは!

この記事は、ある大事な仲間に向けた記事です。
その人がいつか見つけて、問い合わせのドアをノックしてくれたらと思って残します。

いつもの記事はまた書きます。
この記事へのコメントやブクマはなしでお願いいたします。
すみませんが、皆様お察し下さいませ。


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ちょっと困った、笑顔

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
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さて、今回は、続昼休みの、実験の話。


では、どうぞ。









surrealsight.hatenablog.com
先日記載した実験の話。

実験は順調な経過を見せている。

小分けしたベーキングパウダーを使用することにより、膨らみが安定し、レンジの時間は700ワットで3分位がちょうど良くなってきた。

職場では筆者の実験がちょっとした話題になっていて、実験中のプロトタイプをちぎって試食してもらうと、意外にいける、との話が出だした。

今日はミルクプロテインの量を増やして、水分をいつもより増やしてみたがちょっとしっとりを通り越す。

なるほど、これは入れすぎか。


巷じゃなくて、ネットの空間にはたくさんのレシピがあるが、あえてそれを見ず、自分なりに解を探していくのは面白い。
オートミールと言えば421miyako (id:m421miyako) さんだが、まずは自分で1つ確立させてから、レシピを改めて拝見したい。



失敗しても、ちょっとした笑いにはなり、低め設定のハードルのおかげでまわりの反応は上々だ。




昨日、帰りに街を歩いていると輸入食品を売っているやや小洒落た店を発見した。
普段なら筆者はこのような店はまず攻めない。

しかし、オートミールってこういうところにあるんじゃね?的な感じで入り、若い女性の店員さんに、

オートミールとベーキングパウダーってありますか」

と聞いてみた。


ちょっと困った笑顔が見られた。


いい歳したボウズの187センチのオッサンがオートミールとベーキングパウダー?

すみませんね、レンジで蒸しパンを作りたいんですよ。


目でそんな会話をする。
すみません、勝手な妄想です。


彼女は丁寧に対応してくれた。
結局ベーキングパウダーはなかったが、オートミールは数種類発掘することに成功した。地元のスーパーは一択なのに。

やばい、どれにしたらいいんだ。
細かい粉は膨らみやすいのかな。
また実験しないといけないじゃないか。



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現状を、走りに例えると

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さて、今回は、久々に執筆の話を少し。

では、どうぞ。








構想をうんうんと考え、ちょっと集中しようと思ったのが7月。
surrealsight.hatenablog.com
もう約2ヶ月前。この時はわりとすぐに話が下りてくるかなぁと思っていたものの、なかなか上手く進まない。
あっという間に1週間が過ぎていった。
執筆週間と書いたものの、今回はなんだかゆっくりとしたペースになる。

surrealsight.hatenablog.com
考えていた構成を元に潜っていった。
1話、2話と書き進めていくが、書いていくとちょっとこっちの展開の方が良いんじゃないか、こうした方がいいかもと、いう感じで沸いて出てきて、浮上する。そしてまた、潜る。
何度も読み返し、その展開につなげるためにはここを直さないとな、となる。
まるで、テープレコーダーが折り返して再生していくように。

surrealsight.hatenablog.com
話毎の関係性を考えながら、島の周りを自転車で周回していたころ、島の対岸の本土が見える。自転車に乗って風を感じながらいくつか延びる橋を見て、この橋を渡っていくとどうなるだろうと考えていくと、ぱっと消えてしまった。
その橋は上手く繋がってなかったようだ。その頃の橋はまだフワフワしていて、しっかり島と本土が固定されていなかった。




そして、ようやく本土に渡ってきた。
話は進み6話目に入っている。少し長い気もするので削らないといけないかもしれない。前に誰かが走っているわけでもなく、後ろから追いかけられているわけでもない。ただ、前を見て走る。
なんで走っているんだっけ?あ、そうか、走ってみようと思ったからか。
ランの分については半分は過ぎたかな。
あと10キロぐらいかな。
どこでスパートをかけようか。


競技場は近づいてきている。



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山頂は、遙か向こう

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さて、今回は、業務内容が変わって半年経った、話。


では、どうぞ。




半年前の頃の記事。当時からの現状。
surrealsight.hatenablog.com
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業務も変わって、以前よりも朝型の生活になる。

今では目が覚める時間も早くなり、起きられるのかという当初の懸念は解消された。



業務に関して新しい伸び代を見つかるかと、少し楽しみでもあったが、いざ始まると現場からの質疑がかなり入ってき、非常に難しくなった。

ただ単純に自分が知らなかったことが多く、それを調べて根拠立てて説明していくことで、現場で仕事ができないながらも自身の能力を高めていける。
そこに気がつくことはできると、なかなかここの仕事は奥が深い。


ちょうど筆者が異動になったタイミングで、そこの係の上司が変わり、係の仕事の方向性も重点がシフトしていった。

筆者は学生の頃に志した教職とは全く違う道に進んだが、なぜか今は職員研修の担当となり、このご時世なのでパソコンのディスプレイ越しに授業をしている。

繋がることがないと思っていた過去の経験も、ひょんなことで一本の線がつながる。

教育実習の時、自分の授業をビデオカメラで録画して振り返ると、緊張した時は「えー」と言って間を繋いでいたことを思い出した。

今はもう、そんなに緊張することもなく、画面越しで繋がったオンラインの受け手が、考えたり、作業したり、発表したりということ入れながら、授業が出来ている。

そして、研修で受け手が知りたいところに研修内容もメリハリをつけられるように、アレンジを続ける。
これがこちらとしても同じような内容でもマンネリ化しないところで、面白味を持ってできている。

研修は業務の一部分で、他にも幅の広い業務があるが自分の武器を作り、そこで特化した能力を身につけようとしていくと、まだまだ山頂が遥か向こうにあることに気づく。


さぁ、頑張って登っていこう。
まわりの景色を見る、余裕を持ちながら。



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先送りって、もったいない

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ちょっと、久々でございます。なんとかやってます、はい。
さて、今回は、はてなのつながりが、教えてくれたものの話。

では、どうぞ。









筆者が読者登録している方に、電子レンジャー (id:lambamirstan)さんがいる。
この方は、筆者よりもおそらく一回り以上年上の方で、今は下りられたが管理職も経験された方。
仕事での真摯な姿と働き方、幹部社員としての在り方、そしてご家族への思いやりが温かいブログ。

先日、お邪魔したときにこちらの記事を拝読した。
lambamirstan.hatenablog.com
先送り。
耳が痛い。


筆者は、先送りする悪い癖があって、仕事ではそれが影響しないように、朝イチの頭がまだ涼しいうちに取り組んだり、モチベーションを上げてからやったりとして、なんとか事なきを得ていた。
しかし、プライベートとなると、そうもいってない。

ブログを書き出した初期の頃、こんな記事を書いていた。
surrealsight.hatenablog.com
子どもからの他愛ないリクエストだが、そんなことも大きくなればなくなっていく話で、そういう時期がずっと続くわけではない。


誰かと共有出来る時間は、逆算すると限られている。

そういうことに、改めて気付かされた記事だった。


大事な時間はどんどんと飛ばしてきてしまっていた。
何か言われても、何度、また今度、を使ってきただろう。


はてなでつながっていた、おりょー♪さんが7月にそらに逝ってしまった。彼女は現在を生きることをたくさん記事に書いていた。

そう、現在(いま)を大切にしないと。

先送りって、もったいないんだ。


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>ブクマコメントありがとうございます!
Pちゃん (id:hukunekox)さん
今やりたいことを、という話。Pちゃん (id:hukunekox)さんの記事を拝読すると伝わってきます。今を大切にする思いも、楽しさも温かみも✨

いい意味で、いい影響

いらっしゃいませ。ご訪問ありがとうございます。
こんにちは、ジローです。
いつもたくさんの星、ブクマやコメント、本当にありがとうございます!
おかげさまで、筆者はぼちぼちとこのブログを続けられています。


さて、今回は、いい影響、の話。


では、どうぞ。









以前の職場は、とにかく誰かの文句を言っている人が多くて、なんだかどんよりしていた。
筆者もそれに染まっていて、直属の上司から跳んでくる、他の係の不始末に付き合わされることに嫌気がさしていて、そんな負の空気がたまっているときに、病気になった。

病気は結核だったけれど、そこに至る原因は、栄養状態が悪かったり、睡眠時間が少なかったりということもあるけれど、自分が誰かにずっと怒っていたというところが一番大きかったように思う。

以下は初期の頃の病気に関する記事。
surrealsight.hatenablog.com
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中間管理職であった筆者は、初めは改善をしようとはしていたものの、途中で暗闇に入ってしまっていたように思う。


そういう環境にいるときは、自分のまわりの空気がずいぶんと悪くなっていっていることには気付かない。
自ら、悪化させていたのにまわりのせいにしていた。




今の職場は、よく笑う人達がちかくにいる。
自分の家族の話をよくする先輩がいるが、なかなかその話が憎めず、いい笑顔ももっている。
他の人も誰かをディスるような話はほぼ出てこなくて、笑い声が多い。
まぁ、このコロナ下にしゃべりすぎるのは良くないけれど、リモートではなくて、せっかく職場に行くんだから、話の1つぐらいはしたほうがいいように思う。
そういう感じで、誰かに対する不平不満があまり聞こえない職場で、誰々はすごいななんて話がよく出る。

そういう環境にくると改めて、あぁ、あの時はやっぱりよくなかったんだと。


言葉のひきよせじゃないけれど、誰かと話をして笑うって大切なことなんだな、って。

今年の春、内部異動が決まったときはどうなることかと思ったけれど、まわりに恵まれているってこういうことを言うんだなと。

だから、誰かのいいところを見つけたり、感謝の気持ちはどんどん伝えるようにしていきたい。




結核の服薬は半年間。
その服薬期間が終わってから、この夏で2年が経った。
半年ごとのレントゲン検査では、もう肺に白い影はなく、2年の経過観察期間が終了した。


さぁ、これで一区切り。
今度はいい意味で、自分がまわりにいい影響をもたらすように。
そうありたいな、と思っている。


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ブクマコメントありがとうございます!
>まっこさん (id:makkosan70)さん
まっこおばさま、こんばんは!
体調けっこう気を使うようにはなりましたよ。
若くはないってのがいやでもわかりましたし😅
いつも気にかけて下さいましてありがとうございます。

>kami3saki(id:kami3saki)さん
kami3sakiさん、こんばんは!
良い影響はさらに良い流れを引き寄せますね。
そういう人になりたいなって思います。

>AKI (id:aki800) さん
AKI さん、こんばんは!
環境って本当に大事ですね。給料が良くてもとげとげしいところだと、どんどん不健康になっていく。
せっかく人生のかなりの時間を割くのですから、良い環境になるように努力していきたいです!